「同労者」第11号(2000年8月)                           目次に戻る 

聖書の植物

 セイヨウシロヤナギ  Salix alba L.
(英) willow  ヤナギ科


 「アブラハムはベエル・シェバに一本の柳の木を植え、その所で永遠の神、主の御名によっ
て祈った。」(創世記21:33)
 アブラハムがベエルシェバに植えたこの木は、日本聖書協会訳の口語聖書では、「ぎょりゅう
の木」と訳されています。ギョリュウはイスラエルとその周辺全域に自生する乾燥につよい樹木
のようです。聖書翻訳の背景にはこのような知識が要求されることがわかります。

 大槻虎男氏は、聖地の柳の種としてもう一つ、「トガリバヤナギSalix acmophylla Boiss.ヤナギ
科」を紹介しています。柳は大変種類が多く、東北大学理学部付属植物園に"柳園"がありま
すが、そこに栽培されている種は178種におよびます。セイヨウシロヤナギも植えられている
そうです。
 柳は湿地を好み、流れのほとり(詩篇1:3)で青々としています。田のための水路がくずれない
ように、柳を編んで土止めに使ったりしますが、挿し木のようになってその土止めの柳には根
が生え、生きた柳の土止めになるのでした。たいていの木の根には通気が必要ですが、柳の
根には空気が入らなくても大丈夫なのだそうです。
「(収穫の祭りの)最初の日に、あなたがたは美しい木…川縁の柳を取り…」(レビ23:40)
「(河馬は)はすはその陰で、これをおおい、川の柳はこれを囲む。」(ヨブ40:22)
「バビロンの川のほとり…その柳の木々に私たちは立琴を掛けた。…」(詩篇137:1〜2)
「彼らは、流れのほとりにある柳の木のように、青草の間に芽生える。」(イザヤ44:4)



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