「同労者」第13号(2000年10月)                          目次に戻る

信仰良書

 − 神 へ の 道  (6) −
D.L.ムーディー 著   仙台聖泉キリスト教会 山田 大 訳


 天国の魅力
 天国の魅力とは何でしょうか。真珠をちりばめた門でしょうか。それとも黄金色の通りでしょう
か。いいえ。天国の魅力とは、そこで私達が、ひとり子をお与えになったほどに私達を愛してく
ださった神にお会いできることです。家庭の魅力とは何か、とお考えいただければわかると思
います。それは美しい家具や広々とした部屋がたくさんあることでしょうか。いいえ。そのような
家は時として、白く塗った墓のようです。
 ある時、ブルックリンで一人の母親が死にかけていました。彼女の子供は小さくて、病気のこ
とを理解できず母親を悩ませたので、その子を母親から引き離す必要がありました。毎晩その
女の子は、近所の家で泣きながら寝入っていました。彼女はお母さんのいる家へ帰りたかった
のです。しかし母親の容態はますます悪くなり、人々はその子を家へ連れて行く事は出来ませ
んでした。そしてついにその母親は死に、人々はその子に棺の中の母親の死に顔を見せない
方が良いと考えました。葬儀の後、その子は自分の家の一つの部屋へ「ママ!ママ!」と叫び
ながら入って行きました。やがて別の部屋へ「ママ!ママ!」と叫び、そのように家中を探しま
わりました。とうとうその哀れな少女は、最愛の人を見つけることが出来ずに、近所の家へ泣く
泣く連れて行かれました。同じように天国を魅力的なものにしているのは、私達を愛し、私達の
ためにご自身を与えてくださったキリストにお会い出来るという思いです。
 もし、なぜ神は私達を愛されるものなのかと問われたら、私は答えられません。たぶんそれ
は、神が真の父だからではないかと思います。太陽の性質が輝く事であるように、愛すること
は神の御性質なのです。神は私達と愛を分かち合う事を望んでおられます。疑いはあなたを
神から引き離します。それをそのままにしていてはいけません。あなたが罪人だからといって、
神があなたを愛していないとか気にも留めていないとか考えてはいけません。確かに神はあな
たを愛しておられます。あなたを救おうと、そして祝福しようとしておられるのです。
「私たちがまだ弱かったとき、キリストは定められた時に、不敬虔な者のために死んでください
ました。」(ローマ5:6) 神があなたを愛しておられることを納得するのにこの御言葉は十分で
はないのでしょうか。もし主があなたを愛しておられなかったらあなたのために死にはしなかっ
たでしょう。神の愛に逆らって立ち、その愛を拒みさげすむほど、あなたの心はかたくななので
すか。確かに、そうすることはあなたの自由です。しかしその刈り取りもしなくてはなりません。
 恐らくこう言う人もいるでしょう。「神は私達を愛してくださると信じています。でもそれは、私達
が神を愛するならば、のことです。神は清らかで聖なる者だけを愛しなさると信じています。」皆
さん。聞いてください。神は、清らかで聖なる者だけを愛するのではなく、不敬虔な者も愛してく
ださるのです。「しかし私たちがまだ罪人であったとき、キリストが私たちのために死んでくださ
ったことにより、神は私たちに対するご自身の愛を明らかにしておられます。」(ローマ5:8)神
は御子を全世界の罪の代価としていのちを捨てるためお遣わしになりました。ですからもしあ
なたが世界に属しているなら、キリストの十字架において示されたこの愛と深く関わっているの
です。



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