「同労者」第15号(2000年12月)                           目次に戻る 

聖書の植物

 クルミ    Juglans regia (英) nut クルミ科



写真提供:東北大学 玉川欣治氏


「父イスラエルは彼らに言った。『もしそうなら、こうしなさい。この地の名産を入れ物に入れ、そ
れを贈り物として、あの方のところへ下って行きなさい。乳香と蜜を少々、樹膠と没薬、くるみと
アーモンド、そして2倍の銀を持って行きなさい。…』」(創世記43:11〜12)
「私はくるみの木の庭へ下って行きました。谷の新緑を見るために。…」(雅歌6:11)



 大槻虎男氏は次のように解説しています。
 「原産は東南アジアの多雨地帯だが数千年前から聖地に栽培されていた。谷間の水利のあ
る土地に多く植えられた。大木となる。・・・クルミの木が愛好を受けた理由は、1)種から上質の
食用油(この油は限られた貴人の食卓にのみ上った)を取ったこと、2)材質が良質なこと、3)葉
は芳香を放ち庭樹とされたこと、などである。
 ベツレヘムに近いエタムの谷間にはソロモン王が植物園を造営したと伝えられるがその中の
水分の多い所にクルミを植えたと記された。ヨセフスもその著『ユダヤ古代誌』にゲネサレ湖周
辺にクルミの古木が生えていたと記している。」
 クルミの実は青い果肉に覆われています。それは食べられず、処理しにくいものであるた
め、果肉の部分を腐らせ、中の種(梅干しの種を連想するとよいのですが)の部分のみ取り出
して使います。種の中の胚乳部分が食用になります。



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