「同労者」第16号(2001年1月)                          目次に戻る 

論  説
 ― 聖泉連合の原点を見直そう ―

「その日、ダビデの家とエルサレムの住民のために、罪と汚れをきよめる一つの泉が開かれ
る。」(ゼカリヤ13:1) 「城壁を築く者たち、荷をかついで運ぶ者たちは、片手で仕事をし、片手に
投げ槍を堅く握っていた。」(ネヘミヤ4:17)

 神が聖泉連合を建てられた理由を、単なる教会の組織や事務決定のあり方の問題であると
考えてはなりません。そのような理由なら、聖霊の禁じられた分派分裂そのものであり、世に
数あるキリスト教団体の一つが増えるだけにすぎません。それを神が嘉納されるはずがない
のです。
 神は故山本岩次郎牧師を確かな「聖潔」の経験に導かれました。山本岩次郎先生は旧教団
の創立と発展に力を注いだ人物の一人ではありますが、時が経ったのち、神が自分に与えて
くださった「聖潔」を宣証するには、新しい教会が必要であることを感じて、「聖泉」という教会を
組織しようとするに至ったのです。私たちはその後に従ってきました。
 先生の説教をひも解いてみると、「聖潔と教会の関係を明らかにすること」が、先生が聖泉連
合を通して神から与えられた使命であったと理解されます。ですから私たちはこの聖潔のため
に神から召された者たちであるといえます。
 旧教団はもとより、日本の潔め派の教会の教えるところは、「神の前に一人立ち、潔められ
て世に出て行き、人々に愛を行う」というものです。それは神経験を一人で行う、愛の実践がそ
の後につづくものとしています。
 山本先生は「教会建設」とだけ述べ、ご自身では明確に以下のようには述べられませんでし
たが、先生の教えを整理すると、「聖潔は教会という場の中に存在するものであって、教会を
建設することと聖潔は一体である」ということであるといえます。これは、神経験自体を教会す
なわち兄弟姉妹との関係の中で与えられることなのです。ここに言う兄弟姉妹の関係とは、も
ちろん、牧師と信徒の関係、夫婦の関係、親子の関係、教会学校の教師と生徒の関係、教会
内の様々な働きにおける参加者間の関係、一般の兄弟姉妹との関係、教会に出入りする
人々との関係、またキリストにあって生じるこの世の人々との関係などを意味しています。
 連合創立当時、ネヘミヤ記から「築き建てる者は」という説教がなされています。ネヘミヤが
エルサレムを再建しようとしたとき起きてきた問題・課題は、周囲の民族の敵対、ユダヤ人どう
しの貧富の差から生じる金の貸し借りから出てくる問題、周囲の民族と仲良くなって婚姻を結
んでしまう問題、神の家がないがしろにされる問題など様々でした。ネヘミヤ自身を殺害した
り、罪に陥らせようとするたくらみもありました。それらに暗示されている課題は、今も私たちの
眼前にあります。
 私たちは互いに助け合ってそれを乗り切ろうではありませんか。



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