ると思います。教会の先生に伺うことは勿論一番ですが、それを独り占めしないで、すこし公開 してください。それを皆で考えると、きっと皆さんにとって益になると思います。 質問の送付先は巻末にあります。 Q&Aルームに掲載している質問は、皆さんが「普段考えていないようなことばかりで、答えら れないよ。」という声も聞こえてきます。どうぞ、皆さんの聞きたいこと、議論したいテーマをどし どしお寄せください。 先月は「聖書の霊感」についての回答例を載せました。その中で、「霊感とは、通常、神の御 霊によって聖書記者に与えられた超自然的影響であり、それによって彼らの著作が神的な真 実性をあたえられるもの、と定義される。」というウォーフィールドの霊感の定義を紹介しまし た。 この定義では霊感の結果はその著作が「真実である」ということに結びついています。だがそ れだけでいいでしょうか?私は1962年5月12日の夕方、小島彬夫先生にお祈りして頂いた 時救われました。それは事実であるとともに神の前に真実です。しかしこれは聖書のレベルの 真実性ではありません。 聖書が神の霊感の書であるということには神の意図、目的も含まれる。たとえ神の前に真実 であり、有益であるもの例えば手紙や著作物であっても、神が聖書に入れると決めておられな いものは神に霊感された書ではありません。 ですからウォーフィールドの霊感の定義にもうちょっと付け加える必要を感じます。(ウォーフ ィールドの論文は1冊の本ですので、一文だけ取りあげて彼の述べているのはこれだけだと言 っては誤りになりますが。) ワイレーとカルバートソンは、「霊感とは、聖書各書の記者たちをして、彼らの著作が神の意 志の表れとなるようにするための聖霊の働きのことを言う。」と定義しています。(「キリスト教神 学概論」、日本ウェスレー出版協会、1982、p.62)この定義では、「神の意志」をアピールしてい ます。 もう一つ引用してみましょう。「聖書の霊感が最も重要となるのはこの点(他の人間の著作物 と同様に過誤を含むか否か)においてである。霊感とは神がキリストにおける救済のわざの正 確にして真実なる記録およびその解釈を、聖霊によってもたらされた経過の意味である。」(パ ーカイザー編著、「キリスト教信仰の探求」、いのちのことば社、1966、p.71)この定義では、真 実なることだけでなく「キリストにおける救済のわざ」すなわち「何について真実か」ということと 「解釈」ということが加わっています。 皆さんが、回答例をたたき台にして、このような議論をして下さることを望んでいます。 先回の質問の回答例(作成者:野澤) 先月(6月号)の質問は 1.聖書にいう啓示とはなんですか? 啓示という用語の意味を辞書で調べると、「神が人間に対して、人の力では到底知ることの できないような事をあらわし示すこと。」(小学館国語辞典)と出ています。 聖書学者たちは、この啓示を次の二つに区分します。 ・一般啓示 ・救拯に関する啓示 一般啓示ということを要約すると、 「なぜなら、神について知りうることは、彼らに明らかであるからです。それは神が明らかにされ たのです。神の、目に見えない本性、すなわち神の永遠の力と神性は、世界の創造された時 からこのかた、被造物によって知られ、はっきりと認められるのであって、彼らに弁解の余地 はないのです。」(ローマ1:19〜20) 「天は神の栄光を語り告げ、大空は御手のわざを告げ知らせる。」(詩篇19:1) というみことばに表現されているように、自然や人間の観察、歴史などから、通常のこととして 知りうる手段を通しての啓示をいいます。 救拯に関する啓示は聖書に示されています。これが「人の力では到底知ることのできないよ うな事」です。神は聖書の中にご自身はどのようなお方であるか、人間自身が神の前にどのよ うなものであるか、また人間に与えられている自然、世界、人間社会というものがどのようなも のであるか、人間に干渉する悪霊や天使たちがどのようなものであるか、人間の罪と救いの 必要なこと、神ご自身がその救いを備えられたこと、その救いに与った人々はどのようになり、 どのように神の民として働き実を結ぶことを期待されておられるか、またやがて来るべき世の 終末と審判というものがどのようなものであるか、を啓示されました。 聖書を学ばせて頂くのはその神の啓示を悟るために他なりません。パウロが「奥義」と述べ た神の啓示を悟らせて頂いて神の栄光を顕わすことのできるものとさせて頂きましょう。「どう か、私たちの主イエス・キリストの神、すなわち栄光の父が、神を知る知恵と啓示の御霊を、あ なたがたに与えてくださいますように。」(エペソ1:17) 今月の質問 1.啓示された特定テーマについての「救拯史的理解」とは何ですか? また、まずご自分で回答を考えてみて下さい。 |