「同労者」第27号(2001年12月)                      目次に戻る 

Q&Aルーム

 信仰生活のこと、教理上の疑問など様々なことについて、誰かに聞いてみたいことがおきてく
ると思います。教会の先生に伺うことは勿論一番ですが、それを独り占めしないで、すこし公開
してください。それを皆で考えると、きっと皆さんにとって益になると思います。
質問の送付先は巻末にあります。



 先月の質問の回答例(作成者:野澤)
 11月号の質問は、「悪霊たち(10月号の質問の回答残り)について説明してください。
でした。(1)サタンについて、の続きとします。

(2)悪霊について
 私たちが悪霊の問題を考えるとき、聖書が伝えていることをまっすぐに受け取ることが大切
です。イエスの伝道の現場に居合わせた弟子達が、「悪霊につかれた人」(マタイ8:28)と書いたな
ら悪霊につかれた人なのです。ある人々は現代の医学的な説明をしたがりますが、聖書が述
べるままに受け取りましょう。さもないと私たちは聖書よりも偉い人になってしまいます。
 悪霊の直接的な働きに関する聖書の記事は、サウル王についてとイエスの宣教のとき以外
にはわずかしかありません。ですから彼らはイエスの宣教の時、特別に表面に出て働いたの
であろうと思われます。勿論悪霊たちは現在も絶え間なく働いていますが、サタンと同じく「光の
天使を装って」(コリントU11:14)、それを人間に悟られないようにしているのです。

<悪霊たちの被造物としての位置づけ>
「これ(イエスが悪霊につかれた人を癒されたこと)を聞いたパリサイ人は言った。『この人は、
ただ悪霊の頭ベルゼブル(サタン)の力で、悪霊どもを追い出しているだけだ。』」(マタイ12:24)
・悪霊たちはサタンの配下にある霊です。パリサイ人はイエスについては誤っていますが、サタ
ンと悪霊たちとの関係は正しく述べています。
・悪霊たちはその名の示す通り「霊」であってそれぞれが独立の人格です。
 人格は知情意を備えた存在です。殊に自由意志をもっているということが大切な点です。自
由意志をもって行動できるゆえにその行動は神の裁きの対象となるのです。神の悪霊たちに
対する裁きは、やがてやってくる最後の審判のとき行われます。

<悪霊たちの働き>
1)「彼らは異なる神々で、主のねたみを引き起こし、忌みきらうべきことで、主の怒りを燃えさせ
た。神ではない悪霊どもに、彼らはいけにえをささげた。それらは彼らの知らなかった神々、近
ごろ出てきた新しい神々、先祖が恐れもしなかった神々だ。」(申命記32:16〜17)
「彼らは、主が命じたのに、国々の民を滅ぼさず、かえって、異邦の民と交わり、そのならわし
にならい、その偶像に仕えた。それが彼らに、わなであった。彼らは自分たちの息子、娘を悪
霊のいけにえとしてささげ、罪のない血を流した。カナンの偶像のいけにえにした彼らの息子、
娘の血。こうしてその国土は血で汚された。このように彼らは、その行ないによっておのれを汚
し、その行ないによって姦淫を犯した。」(詩篇106:34〜39)
「私は何を言おうとしているのでしょう。偶像の神にささげた肉に、何か意味があるとか、偶像
の神に真実な意味があるとか、言おうとしているのでしょうか。いや、彼らのささげる物は、神
にではなくて悪霊にささげられている、と言っているのです。私は、あなたがたに悪霊と交わる
者になってもらいたくありません。」(コリントT10:19〜20)
・カナン人の宗教だけではなくキリスト教以外のすべての宗教は悪霊の働きによります。

2)「その翌日、神からの悪い霊がサウルに激しく下り、彼は家の中で狂いわめいた。ダビデ
は、いつものように、琴を手にしてひいたが、サウルの手には槍があった。サウルはその槍を
投げつけた。ダビデを壁に突き刺してやろう、と思ったからである。しかしダビデは二度も身を
かわした。」(サムエル記T18:10〜11)
「夕方になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れて来た。そこで、イエスはみ
ことばをもって霊どもを追い出し、・・」(マタイ8:16)
・悪霊は人の魂に住むことができ、人を狂気に陥らせることをします。

3)「汚れた霊が人から出て行って、水のない所をさまよいながら、休み場を捜します。一つも見
つからないので、『出て来た自分の家に帰ろう。』と言います。帰って見ると、家は、掃除をして
きちんとかたづいていました。そこで、出かけて行って、自分よりも悪いほかの霊を七つ連れて
来て、みなはいり込んでそこに住みつくのです。そうなると、その人の後の状態は、初めよりも
さらに悪くなります。」(ルカ11:24〜26)
「こうして彼らは、ガリラヤの向こう側のゲラサ人の地方に着いた。イエスが陸に上がられると、
この町の者で悪霊につかれている男がイエスに出会った。…彼は、長い間着物も着けず、家
には住まないで、墓場に住んでいた。彼はイエスを見ると、叫び声をあげ、御前にひれ伏して
大声で言った。『いと高き神の子、イエスさま。いったい私に何をしようというのです。お願いで
す。どうか私を苦しめないでください。』それは、イエスが、汚れた霊に、この人から出て行け、
と命じられたからである。汚れた霊が何回となくこの人を捕えたので、彼は鎖や足かせでつな
がれて看視されていたが、それでもそれらを断ち切っては悪霊によって荒野に追いやられてい
たのである。イエスが、『何という名か。』とお尋ねになると、『レギオンです。』と答えた。悪霊が
大ぜい彼にはいっていたからである。」(ルカ8:26〜30)
「また、悪霊や病気を直していただいた女たち、すなわち、七つの悪霊を追い出していただい
たマグダラの女と呼ばれるマリヤ、・・」(ルカ8:2)
・多数の悪霊が人間の魂(心)に住むことができます。霊が人格ですから、精神科医のいう多
重人格は一人の人間に多数の悪霊が住み着いたことに他なりません。くるくるかわる沢山の
性格を一人の人間が示している場合には、"いろいろな性格を持ち合わせていてそれが交互
に顕れる"と表現すべきであって、"多重人格"ではありません。

4)「御国のことばを聞いても悟らないと、悪い者(サタンあるいはその配下の悪霊)が来て、そ
の人の心に蒔かれたものを奪って行きます。道ばたに蒔かれるとは、このような人のことで
す。」(マタイ13:22)
・人から神のことばを奪うことをします。人は神のことば、すなわち聖書のことばによって救わ
れますから、聖書の言葉を奪うことによって、その人が救いに与ることを妨げるのです。

5)「ちょうどそのとき、一つの手が私に触れ、私のひざと手をゆさぶった。それから彼は私に言
った。『神に愛されている人ダニエルよ。私が今から語ることばをよくわきまえよ。そこに立ち上
がれ。私は今、あなたに遣わされたのだ。』彼が、このことばを私に語ったとき、私は震えなが
ら立ち上がった。彼は私に言った。『恐れるな。ダニエル。あなたが心を定めて悟ろうとし、あな
たの神の前でへりくだろうと決めたその初めの日から、あなたのことばは聞かれているから
だ。私が来たのは、あなたのことばのためだ。ペルシヤの国の君(悪霊のひとり)が二十一日
間、私に向かって立っていたが、そこに、第一の君のひとり(天使)、ミカエルが私を助けに来
てくれたので、私は彼をペルシヤの王たちのところに残しておき、終わりの日にあなたの民に
起こることを悟らせるために来たのだ。なお、その日についての幻があるのだが。』彼が私に
このようなことを語っている間、私はうつむいていて、何も言えなかった。」(ダニエル書10:10〜
15)
「今は、ペルシヤの君と戦うために帰って行く。私(天使のひとり)が出かけると、見よ、ギリシ
ヤの君(悪霊のひとり)がやって来る。」(ダニエル書10:20)
・悪霊は天使が神の命令を行うことを妨げる働きをします。

<悪霊たちの知識>
「あなたは、神はおひとりだと信じています。りっぱなことです。ですが、悪霊どももそう信じて、
身震いしています。」(ヤコブ4:19)
「また、会堂に、汚れた悪霊につかれた人がいて、大声でわめいた。『ああ、ナザレ人のイエ
ス。いったい私たちに何をしようというのです。あなたは私たちを滅ぼしに来たのでしょう。私は
あなたがどなたか知っています。神の聖者です。』イエスは彼をしかって、『黙れ。その人から
出て行け。』と言われた。するとその悪霊は人々の真中で、その人を投げ倒して出て行った
が、その人は別に何の害も受けなかった。」(ルカ4:33〜35)
「私たちが祈り場に行く途中、占いの霊につかれた若い女奴隷に出会った。この女は占いをし
て、主人たちに多くの利益を得させている者であった。彼女はパウロと私たちのあとについて
来て、『この人たちは、いと高き神のしもべたちで、救いの道をあなたがたに宣べ伝えている人
たちです。』と叫び続けた。」(使徒16:16〜17)
「神はパウロの手によって驚くべき奇蹟を行なわれた。パウロの身に着けている手ぬぐいや前
掛けをはずして病人に当てると、その病気は去り、悪霊は出て行った。ところが、諸国を巡回し
ているユダヤ人の魔よけ祈祷師の中のある者たちも、ためしに、悪霊につかれている者に向
かって主イエスの御名をとなえ、『パウロの宣べ伝えているイエスによって、おまえたちに命じ
る。』と言ってみた。そういうことをしたのは、ユダヤの祭司長スケワという人の七人の息子たち
であった。すると悪霊が答えて、『自分はイエスを知っているし、パウロもよく知っている。けれ
どおまえたちは何者だ。』と言った。そして悪霊につかれている人は、彼らに飛びかかり、ふた
りの者を押えつけて、みなを打ち負かしたので、彼らは裸にされ、傷を負ってその家を逃げ出
した。」(使徒19:11〜16)
・悪霊たちは神、イエス・キリストをはじめ霊の事柄に関する多くの知識を持っています。

<悪霊たちがイエス・キリストの贖いによって救われる可能性>
・聖書にはそのような記述が全くありませんから、彼らが救われるということは考えられませ
ん。イエス・キリストの贖いは「人間」の罪に対するものであって、悪霊たちのためのものではあ
りません。

<悪霊たちの未来>
「人の子はその御使いたちを遣わします。彼らは、つまずきを与える者や不法を行なう者たち
をみな、御国から取り集めて、火の燃える炉に投げ込みます。彼らはそこで泣いて歯ぎしりす
るのです。」(マタイ13:41〜42)
「そして、彼らを惑わした悪魔は火と硫黄との池に投げ込まれた。そこは獣も、にせ預言者もい
る所で、彼らは永遠に昼も夜も苦しみを受ける。」(黙示20:10)
・悪霊達はサタンや不法を行った人間と一緒に裁かれて永遠の火に投げ入れられます。


今月の質問
1.サタンや悪霊たちと人間の病気の関係について説明してください。
今回もまた、まずご自分で回答を考えてみて下さい。


 目次に戻る     表紙に戻る