「同労者」第27号(2001年12月)                        目次に戻る

聖書の植物

− 野 の 花 −

【清泉女子大学、廣部千恵子教授のお許しをいただき、同氏のホームページ「聖書の植物」の
写真と解説を掲載させていただけることになりました。詳細は直接ホームページ
    http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm
または、「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。 
 今回は<1.野の花>から引用させていただきました。日本語聖書に「ゆり」、「野の花」など
と訳されている花の一部です。斜体の部分はそのまま引用させて頂いたものです。】


マドンナリリー・・(「ゆり」と訳されている中心的な花。新聖書植物図鑑で見て下さい。)

アネモネAnemone coronaria
赤、ピンク、白、ブルー等の色もある。球茎様の根の植物で、6枚の花びらがある。花の直径
は4〜8cmである。この花びらの基は黒っぽく、周りは白い。実はこの花びらと思われていると
ころは萼の変化したものである。花は朝開き、夕方近くなると閉じてしまう。雅歌5:13のゆり
はアネモネであろう。

アネモネAnemone coronaria

 聖書には「ゆり」が以下のように出てきます。
「こうして彼(ヒラム)は(神殿の)柱を作り、柱の頂にある柱頭をおおうために、青銅のざくろが
格子網の上を二段に取り巻くようにし、他の柱頭にも同じようにした。この玄関広間にある柱の
頂の上の柱頭は、ゆりの花の細工であって、それは四キュビトであった。…この柱を本堂の玄
関広間の前に立てた。彼は右側に立てた柱にヤキンという名をつけ、左側に立てた柱にボア
ズという名をつけた。この柱の頂の上には、ゆりの花の細工があり、このようにして、柱の造作
を完成した。」(列王記T7:18〜22)
「私はシャロンのサフラン、谷のゆりの花。わが愛する者が娘たちの間にいるのは、いばらの
中のゆりの花のようだ。」(雅歌2:1〜2)
「私の愛する方は私のもの。私はあの方のもの。あの方はゆりの花の間で群れを飼っていま
す。」(雅歌2:16)
「あなたの二つの乳房は、ゆりの花の間で草を食べているふたごのかもしか、二頭の子鹿のよ
うだ。」(雅歌4:5)
「私の愛する方は、輝いて、赤く、万人よりすぐれ、… その頬は、良いかおりを放つ香料の花
壇のよう。くちびるは没薬の液をしたたらせるゆりの花。その腕は、…」(雅歌5:10〜13)
その他、雅歌6:2、6:3、7:2など。
「わたしはイスラエルには露のようになる。彼はゆりのように花咲き、ポプラのように根を張
る。」(ホセア14:5)


ラナンキュラスRanunculus asiaticus
聖地にアネモネと前後して咲き出すラナンキュラスも同様に赤い可愛らしい花である。アネモネ
の花は中央が黒く、その周りが白っぽくなっていること、蕚がないこと(実際は花冠と蕚の区別
がないのであるが)でラナンキュラスと区別できる。

ラナンキュラスRanunculus asiaticus


ヒナゲシPapaver subpiriforme
 一番多くみかけるのがパパウェル・スブピリフォルメPapaver subpiriformeである。
ひなげしは非常に短命で、花が咲いたと思ったら直ぐに散ってしまう。ペトロの第一の手紙1:2
4を思い浮かばせる。

ヒナゲシPapaver subpiriforme

「なぜ着物のことで心配するのですか。野のゆりがどうして育つのか、よくわきまえなさい。働き
もせず、紡ぎもしません。しかし、わたしはあなたがたに言います。栄華を窮めたソロモンでさ
え、このような花の一つほどにも着飾ってはいませんでした。」(マタイ6:28)
・・この部分の「ゆり」は、聖書協会の口語聖書では「野の花」となっています。ルカ12:27にも
同一のイエスの説教がのせられています。



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