「同労者」第30号(2002年3月)                          目次に戻る

ショートコラムねだ

 − 蓼(たで)喰(く)う虫も好き好き  −


 世の中、トム・クルーズやデカプリオほどとは言わないが、すてきな男がいるものだ。女もま
た然り。
 だがその逆もある。「けっ。いやなやつ!!」と感じるわけである。
 あんないやーらしい男が、どうしてあんなすてきな女と一緒にいるのか?と首をひねることもあ
る。
 だが、いやーな男といやーな女が一緒のことも多々ある。昔の人は、譬えが上手い。そのよう
なカップルを
    "蓼喰う虫も好き好き"
と称した。
 学校の試験なんぞで間違えるといけないから、老婆心。試験の時「蓼喰う虫も好き好き」とは
どういう意味か問われたら、「人の好みはいろいろで一概には言えないことをいう譬え」と答え
たまえ。

"割れ鍋にも綴じ蓋"ではありませんぞ。
こっちは、人間というものはだれしも完璧ではないというのが通り相場だが、人はそれぞれ欠
けているところが違っているわけである。その欠けをぴったり補ってくれる女房がいることをい
うのである。

 こっちが"いやーなやつ!!"と感じるときにはたいていむこうもこちとらのことを、"いやーな
やつ!!"と感じているものだ。
 これを「虫が好かない」という。
 腹の中には人間を支配・コントロールする虫がいるらしい。その虫がこいつを嫌え!と命令す
るのである。するとその虫にはかなわない。はいっといって、そいつを嫌うのである。

 人によって、この好き嫌いの基準が違う。会社に、ほとんどたいていの人が嫌っていた某課
長がいたが、それでも"あの人は一徹な人!!"とファンになっている女もいた。

 自分もそうだが、他の人も年とともにその基準が変わってくるようだ。
その結果、悟りを開く。「女は顔じゃない!!」もちろん「男も顔じゃない!!」

 だが別な意味で「顔に責任を持て!」と言われる。

 諸君!程良い年になったら、福音に相応しい価値観から出てくる好き嫌いをもっているか、
自らに問いかけたまえ。


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