「同労者」第30号(2002年3月)                      目次に戻る 

Q&Aルーム

 信仰生活のこと、教理上の疑問など様々なことについて、誰かに聞いてみたいことがおきてく
ると思います。教会の先生に伺うことは勿論一番ですが、それを独り占めしないで、すこし公開
してください。それを皆で考えると、きっと皆さんにとって益になると思います。
質問の送付先は巻末にあります。



 先月の質問の回答例(作成者:野澤)
 1.クリスチャンは「進化論」をどう考えたらいいでしょうか?
でした。
 この質問は、進化論が「神が天と地を創造した。」(創世記1:1)という聖書の記述に反対するも
のとして捉えられていることから生じています。私たちは聖書の示す「創造論」を信じています。
「進化論」の問題を考えるに当たって、二つの面からの考察が必要です。その一は、神を信じ
ない人々あるいは聖書信仰に立っていない人々の主張する進化論をどう考えたらよいかという
ことで、もう一つは進化論に反対する人々のつじつまの合わない創造論の説明に惑わされな
いことです。
 これらの人々の主張のいくつかと聖書の記事とを考察してみましょう。

<地質年代について>
 アダムから現在まで約6000年です。(これに1000年王国の1000年を加えて7000年に
なるので・・7000年をこの世の完成の時として・・、すぐにもイエスの再臨があると考える人々
もいます。)ある人々は、天地創造から現在までを6000年であると主張していますが、それは
無理と思われます。
聖書の記事によると神の創造のみ業は、アダムの出現をもって一段落しています。アダムから
現在までは約6000年ですが、それ以前のことは別、つまりたった6日(創世記1:31)であったと
理解すべきです。
 詳細には述べませんが、放射性同位元素の崩壊現象などを利用した推定値として、地球が
できたのは今から70億年くらい前であるという説が有力です。推定方法に計算ミスがあって仮
に3ケタ違っていたとしても7000万年であって、とても6000年に含めることはできません。こ
れは地球をはじめとし宇宙全体に及ぶ全世界を、現在の自然現象の法則に従って調査すると
そうなるということです。
 ですから、現在の自然法則に従ってみ業を進めたなら70億年くらいかかる分の出来事を、
神は6日で行われたのです。
創造論を主張する人々の中には、ノアの洪水の後(洪水によって)現在の地球の姿になったと
考えている人がいます。聖書を読んでみるとそれは違うようで、アダムがエデンの園を追放さ
れた時(創世記3:23)、地上は現在と同じ姿であったと考えるのが妥当であると思われます。そ
の理由は、聖書にあるカインとアベルに始まる農耕と牧畜の記事、あるいは続く人々の狩猟生
活の記事などをみるとき現在と少しも差を感じさせないからです。

<進化論について>
自然を調べて成立している自然科学は、分担している領域が何であるかを誤らなければ私た
ちの信仰の助けをするものなのですが、残念ながら進化論という考えが入ってきたためにこの
問題には自然科学がかえって信仰の邪魔をするものとなっています。
現在地上にいる人間を含む動植物がどのようにして出来てきたか、またその住みかであると
いえる地球はどのようにして今の姿になったか、その裏付けの一部を提供している地質、地層
などはどのようにして出来てきたのかは、動物学、植物学、人類学あるいはまとめてこれらを
生物学、博物学、考古学、歴史学、地学、地質学、地理、などなどの細分化された学問として
追求されています。
 子供達が学校に行くときっと以下のような人々の主張する進化論を教えられるでしょう。
ラマルク(1744〜1829)フランスの博物学者。用不用説・・生物が使用する器官は発達し、使
用しない器官は退化する。その状態(形質)が子孫に受け継がれるとするもの。
ダーウィン(1809〜1882)イギリスの博物学者。自然淘汰説・・自然に適応できる生物が生き
残り、適応出来ない生物は絶滅することが繰り返されるとするもの。ガラパゴス島の生物を調
査して著した「種の起源」という著書で有名。
ド・フリース(1848〜1935)オランダの植物学者。突然変異説・・生物は突然変異を起こすこと
があり、その変異した生物のうち環境に適応できたものが生き残り、進化してきたとするもの。
ヘッケル(1834〜1919)ドイツの生物学者。系統発生説。生物が進化してきた(と考えた)その
系統を整理した。個体発生は系統発生を繰り返す・・例えば人間の胎児はいろいろな姿をとり
ながら人間の形として完成して生まれてくるが、かつてはその中間の形のままこの世に存在し
たとするもの・・と主張。
現在はウィルス進化説などというものがあって、DNA(デオキシリポ核酸・・生物の健康維持
や形を決めたり遺伝を司ったりする高分子化合物で生物の体内に存在する。酸、塩基、糖の
三成分から成る。犯罪捜査のための個人の特定や親子の判定などに使われて広く知られるよ
うになっている。)を絡めて進化の説明をしようとしています。
そのほか色々な説が唱えられてきました。これらの説が次々と出てくるのは、かれらが調査し
て得た内容をうまく説明できないからです。
 残念ながらこれらの人々は聖書の創造に関する記述に反対しようと躍起となっているので
す。進化論全体を貫いている一つの思想は、単細胞というような原始的な生命体が発生しそ
れらが分化して次々と新しい生物が顕れてきたとすることです。これらの諸説はその分化が起
きてきた理由を神のご介入を否定しながら説明しようと試みているわけです。
 現在も生きているカブトガニ、シーラカンス、メタセコイヤなど古い地層に化石が見つかる動
植物も、恐竜、始祖鳥などの絶滅した生物もすべて完成した種であって、中間の種というもの
は見つかりません。系統発生説に従うと、例えばネコ科の動物であるライオン、トラ、ヒョウ、チ
ータ、オオヤマネコ、ネコなどは全部同一の先祖から出てきたものとするわけですが、その先
祖が見つかりません。ライオンとヒョウの間には子供が出来ます。しかしその子供は子孫を作
る能力がなく、交配による新しい種はできてこないのです。
 聖書の記事はこうです。「神は、海の巨獣と、その種類にしたがって、水に群がりうごめくすべ
ての生き物と、その種類にしたがって、翼のあるすべての鳥を創造された。…神は、その種類
にしたがって野の獣、その種類にしたがって家畜、その種類にしたがって地のすべてのはうも
のを造られた。」(創世記1:21、25)「地は植物…、地は、…生き物…を生ぜよ。」(創世記1:11、
24)とありますから、すべての動植物が地からでてきたものです。人間も体の部分は地から造ら
れました。(創世記2:7)人間以外の動植物がどのようにして地から生じてきたかは不明です。
神がこれらを系統的に造られたのではないとも断言できませんが、はじめからといえるほどわ
ずかの期間に種は完成されていたのです。

<人間の出現について>
 進化論を主張する人々は、人間も動植物を同じ経路で出現してきたと考えます。けれども聖
書は、人間は神がご自身に似せて造られ、命の息(霊)を吹き込まれたとしています。(創世記
2:7)ですから人間は他の動物とは全く違ったものなのです。その違いのもっとも大きい点は、人
間が霊を有する者、霊が人間の主体であって地に属する体の部分は付随するものに過ぎない
ことです。どんなに肌の色や顔かたちが違っても人間は、生物学上はお互いの間に子孫を残
すことが出来る能力を持った子供をつくることが出来る同一の種です。
 原人と呼ばれている古い地層から見つかる人間に似た生き物の骨がありますが、それは人
間とは種が違うものでしょう。彼らが猿、チンパジー、ゴリラなどの類人猿よりも少し知恵があっ
て、火や道具を使うことができたとしても、人間とは別な種であるに違いありません。

<聖書記事と地質的調査結果との類似点>
地質調査の結果には聖書の記事と類似している内容が含まれています。
地質調査では地層の古い順から決めていって、以下の順に生き物が発生して来たとしていま
す。
・はじめ植物が出現したこと(創世記1:11〜12と対応している。)
・次に水の中の生き物が出現したこと(創世記1:20〜22 〃  。)
・その次に鳥が出現したこと(創世記1:20〜22 〃  。)
・その次に地上の生き物が出現したこと(創世記1:24〜25  〃  。)
・その次に人間が出現したこと(創世記1:26〜27  〃  。)
 これらの調査結果は聖書の記事の正しさを証明するものとなっています。
 
<熱力学第二法則について>
 創造論を主張する人々の中に、「熱力学第二法則」を説明の道具に進化論を否定している
人々がいますが、これは的はずれです。その主張は、進化論は混沌の中から統一が生じてき
たとするものであるのに、熱力学第二法則に従うと物事は統一から混沌に向かう、だから進化
論は嘘だというのです。
 熱力学の法則はそのようなこととは全く無関係です。
 熱力学の第一法則は「エネルギー保存の法則」とも呼ばれ、外界から遮断された領域内の
全エネルギーは決して増減しないというものです。
 熱力学の第二法則は「二つの物体が接続されて存在しその物体に温度差がある時、熱は高
温の物体から低温の物体に向かって流れ、これらの物体に外界から何らかの作用を施さない
と、低温の物体から高温の物体に熱が移動することはない」というものです。
 熱力学によると、永遠の時間が経つと宇宙に存在するすべてのエネルギーは平衡状態に達
し、そこには動きうる何一つ無い死の世界となります。ですからこの地球をはじめとする宇宙
は、永遠の昔から存在したのではなく"はじめ"があった、と科学者は認めるのです。そのはじ
めは"光であった"とかれらも主張しています。

 子供達に「創造論」が正しいことをどのように教えたらよいでしょうか。言葉の説明では無理
でしょう。まず救いの経験(新生)を通して、神がおられることと神の国(霊の世界)のあることを
知らなければなりません。そうすれば聖書が真理の書であることを納得できます。
 進化論について学校で先生に無理に反対しなくてもよいでしょう。そういう「説」があるとしてお
けばよいのです。



今月の質問
1. 私たちがイエス・キリストについて学ばなければならないのはなぜですか。
今回もまた、まずご自分で回答を考えてみて下さい。


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