「同労者」第32号(2002年5月)                          目次に戻る

ショートコラムねだ

 − 苦しいことはいいことだ  −


 筆者にとっては文字通り"耳学問"であるが、会社の同僚がテレビで見た次のようなことを話
していた。「運動による筋肉痛というのは、運動すると筋肉の微細組織が断裂する。その時は
たいして痛くないが、その修復のときに痛い。そしてその修復された筋肉は元の筋肉より強
い。運動直後ではなく、後で運動の影響がでてくる。特に年齢が上がってくると修復に時間が
かかるため数日経って痛くなることもあるのはそのためだ。」
 復元された筋肉組織は同程度の運動には耐えられるらしい。だから同じ運動を繰り返してい
ると筋肉痛を起こさなくなる。つまり、筋肉痛が出るくらい運動すると強い筋肉がつく。疲れてへ
とへとになることによってより強い体ができるということのようだ。
以下は大まかな話として聞いてもらいたい。
 運動は筋肉の力によるが、力を出すにはエネルギーが必要である。その筋肉が使うエネル
ギーはATP(アデノシン三燐酸)がADP(アデノシン二燐酸)と燐酸に変化する時のエネルギー
なのである。ATPはADPと燐酸が再反応してできるがその反応にエネルギーが必要でそのエ
ネルギーは以下の三つの経路で供給される。その一は筋肉の中のクレアチン燐酸という物質
の分解である。
 第二はブドウ糖がグルコースを経て変化したグリコーゲンが分解し、ピルビン酸という物質を
経由して乳酸ができる反応である。
 この二つは酸素の供給なし(無酸素状態)で行われる。乳酸が筋肉中に貯まると"凝る"ので
ある。
 第三は、グリコーゲンが酸素で分解し炭酸ガスと水になるエネルギーと、脂肪が燃焼するエ
ネルギーである。
 この第三のエネルギールートが有酸素(エアロビック)運動と言って騒がれているものであ
る。うまくやれば体の中の脂肪を減らすことができるからである。
 体の組織には、エネルギー源も酸素も血液から供給される。全身に血液を送るのは心臓、
血液に酸素を取り込むのは肺である。その働きを併せて心肺機能という。心肺機能を高める
のには、筋肉が痛くなるのと同様に、心拍が速くなり呼吸を深くする状態を繰り返すことが必要
なのである。

 今回のまとめ。
・歩くときは急いで歩くべし。
・汗が出るように仕事をし、汗が出るように遊ぶべし。汗は新陳代謝が促進されている証拠で
ある。
・次を呪文のようにとなえるべし。
「苦しいことはいいことだ。お腹がすくのはいいことだ。汗をかくのはいいことだ。脈が速くなる
のはいいことだ。息が切れるのはいいことだ。疲れることはいいことだ。」・・但しお年寄りはほ
どほどに。
そうすると、苦しい、お腹がすく、汗をかく労苦に耐えることができる。そしてその労苦を"苦痛
に感じる程度が小さくなる"体と心を獲得できる。

教会の労苦も同じだよ。




目次に戻る   表紙に戻る