写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可によ り掲載。詳細はホームページ、 http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002tree2.htm または、「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。 川が流れ、泉が湧き、地下水が溢れる土地、小麦、大麦、ぶどう、いちじく、ざくろが実る土 地、オリーブの木と蜜のある土地である。(申命記 8:7〜8) わたしはまことのぶどうの木、わたしの父は農夫である。わたしにつながっていながら、実を結 ばない枝はみな、父が取り除かれる。しかし、実を結ぶものはみな、いよいよ豊かに実を結ぶ ように手入れをなさる。(ヨハネ15:1〜2) ある家の主人がぶどう園を作り、垣を巡らし、その中に搾り場を掘り、見張りのやぐらを立て、 これを農夫たちに貸して旅に出た。(マタイ21:33〜)(マアルコ12:1〜、ルカ20:9〜) さてノアは農夫となり、ぶどう畑を作った。あるとき、ノアはぶどう酒を飲んで酔い、天幕 の中で裸になっていた。…(創世記9:20〜21) (雅歌2:13) この他にもぶどうについての記載は聖書の中に沢山ある。 イスラエルを祝福する7つの産物 の一つであることが申命記に記されている。そこで、モザイク、壁画、家具、墓、貨幣、シナゴ ーグの入り口などにぶどうが描かれている。聖書で最初に出てくる栽培植物で、ノアは洪水の 後にぶどう園を作り、ぶどう酒までつくっていた。アブラハムが戦利品を持って帰って来た時、 メルキゼデクもぶどう酒を持って来ている(創世記14:17〜18)。モーセがカナン征服の為に偵 察に送った人々が持って帰ってきたぶどうの房は、当時のぶどう栽培が高い水準にあったこと を示している(民数記13:23)。原産地は多分アジア西部、カスピ海南岸に面した諸国であろう とされている。ぶどうの原種とみなされるVitis vinifera subsp. sylvestrisは現在カスピ海南岸か ら黒海南岸、ヨーロッパおよび中東、北西アフリカの地中海沿岸に自生している。イスラエルの ぶどうの栽培は日本のように棚にするものよりも、Y字形の支柱や垣根風の簡単なものが多 い。自分の植えたぶどうの木といちじくの木の下に住むことはイスラエル人の幸福、平和、豊 かさのシンボルであった(ミカ書4:4)。 イエスの時代にはマタイ21:33からも分かるように、ぶどう園は大切な宝で、周りに垣根を巡 らし、中には見張りのやぐらをつくり、絞り場を作った。ぶどうは強い台木に良い品種を接いた 接ぎ木苗を用いて栽培するが、手入れしないと枝が多く出て良い実が実らなくなる。多年生の 植物であるが、丁度収穫によい大きさを保ち、豊かな実をみのらすために適当に剪定を毎年 行う。イエスはイスラエルで当時皆が知っていたこの事実を父とご自分とわたしたちにたとえて 話された。
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