写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可によ り掲載。詳細はホームページ、 http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002tree3.htm#k3 または、「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。 さい。この土地の名産の品を袋に入れて、その人への贈り物として持って行くのだ。乳香と蜜 を少し、樹脂と没薬、ピスタチオやアーモンドの実。(創世記43:11) アーモンドはエジプト への贈り物の土地の名産の一つになっている。アーモンドについてはこの他にもルズ(zWl)と いう名で出てくる。ベテルもかつてはルズと言われていた。創世記30:37は植物として他の28: 19 、35:6、48:3およびヨシュア記16:2、18:13、 士師記1:23および 1:26は地名として出てきてい る。アーモンドはイスラエルの春の使者である。丁度日本の梅の花のように、今まで寒かった 冬に別れを告げるかのように、葉の出ていない一見枯れたように見えるアーモンドの木に一斉 に花が咲く。2月の前半から一ヶ月位咲き続ける。アーモンド(甘扁桃)はイスラエルでは各所 で栽培されているが、地中海地帯、特にテルアビブとエルサレムを結ぶハイウエー沿いに沢山 栽培されている。早春梅や桃に似たピンクがかった花が咲き、10週間後に実が熟し始める。 果肉は乾燥すると割れ、核が地に落ちる。核の中にある仁は茶色の皮で覆われている。アー モンドは脂肪約50%を含み、有史以前から栽培されていた。ヤコブの子どもたちがエジプトに 持って行く時には、既にこの地方の特産物になっていたようである。 イスラエルにはこの他にも野生の仁の苦いアーモンドがある。苦扁桃である。これはアミグダリ ンを含み苦いので食用にはならないが、栽培種に非常に近いものである。違いは実が小さい こと、殻が硬いこと、種が苦いことである。アミグダリンは青酸配糖体で加水分解により青酸を 生じるので食用にはできない。
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