「同労者」第49号(2003年11月)              目次に戻る      表紙に戻る

ショートコラム ねだ

 − マニフェスト  −


 最近「マニフェスト」なるいままで聞いたこともないようなことばが横行している。はなはだ不愉
快だ。しかし、知らんではこれまた面白くない。辞書をひいてみると、「宣言」「宣言書」「檄文
(げきぶん)」「政府、政治団体などが出す声明書」などといった訳が出ている。マスコミの報道
に使われている様子では、「党の掲げる政策」「選挙公約」のことらしい。はじめから日本語で
そう言え!!っちゅうもんだ。

 どうも我が国では、カタカナ語が好きな人間が多いようだ。特に官公庁で使っている文書にあ
まりにもカタカナ語が多いので驚く。筆者のよく知っている某大学教授が退官後、委嘱されて地
方自治体の産業興しのための法人の理事長になった。つまり産学官をつなぐ役目である。当
然、官すなわちお役人さんたちとの折衝が必要である。数年して彼が講演して言うに、"お役人
さんたちの使うことばが分からなくて困った。・・"と。要はカタカナ語の羅列(られつ)に辟易(へ
きえき)したと言うことだ。
 なんですって?漢字語にも辟易する?それは困りましたね。茶髪の娘さんたちのことばが日
本を占領する時がやがて来るのか知らん。

 それはさておき、なかにはすっかり日本語になってしまったカタカナ語もありますねえ。デート
なーんてことばをいまさら「逢い引き」なんて言わないでしょ。そうそう映画のタイトルにはありま
したねえ。「逢い引き」ってのが。そういう「タイトル」も定着してますね。テニスプレーヤーの伊
達さんはローマ字表記では「Date」さんで、デート(伊達)さんがどこぞの男性とデートしたと某
新聞がすっぱ抜いたとか。
 デートならぬデータもすっかり日本語の座を獲得しているようだ。「記録」という立派な古来の
日本語があるにもかかわらずである。
 カタカナ語ならいざ知らず、さらにローマ字語のまま我が国に忍び込んだくせものもあるよう
だ。CD、pH、DNAなどと。そうそうm(メートル)、L(リットル)、kg(キログラム)、A(アンペ
ア)、・・など単位はローマ字語しかない。
 中には日本語に置き換えると微妙にニュアンスが違って困るものもある。「ニュアンス」を古
来の仮名交じりの漢字語で言え!と命じられたら長ったらしい説明文になってしまいますなあ。
(ため息。)

 まあしかし。信仰に関する用語を、日本語から英語に置き換えただけで分かったような気に
なってはなりませんぞ。




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