写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可によ り掲載。詳細はホームページ、 http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002tree9.htm または、「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。 「ツロの王ヒラムが、ソロモンの要請に応じて、杉の木材、もみ(糸杉)の木材、および、金をソ ロモンに用立てたので、ソロモン王はガリラヤの地方の二十の町をヒラムに与えた。」(列王記 T9:11) 「そこに、鳥は巣をかけ、こうのとりは、もみ(糸杉)の木をその宿としています。」(詩篇104:17) そヒノキ科イトスギ属の針葉樹でヨーロッパ南部原産である。暖地でよく生育し、枝からイトスギ 油が採取され、香料や咳どめになる。聖書のベローシュをイタリアイトスギに限定する説もある が、M. Zoharyはイタリアイトスギ、マツ科モミ属のキリキアモミAbies cilicica(Cilician fie)および ヒノキ科ネズミサシ属のJuniperus excelsa(Eastern Savin)の3つの植物の総称であると言って いる。彼はベローシュがことにレバノン杉と一緒に出てくる時にはキリキアモミであろうとしてい る。このモミはレバノンでレバノン杉とともに生育している。しかしレバノンのその辺りにはイタリ アイトスギは生育していない。このイタリアイトスギはガリラヤに少し、ヨルダンのエドムにある。 かつてはユダ山地にもあったことが、花粉や家具や建物の発掘によって証明されている。エル サレムなどにも今は植林されている。またヒノキ科ネズミサシ属のJuniperus excelsaもレバノン のセニール山(ヘルモン山)に現在生育している。そこで、エゼキエル27:5の「彼らはセニル の檜でお前の外板を造りレバノンの杉で、帆柱を立てた。」はこの植物であろうし、逆にレバノ ン杉といっしょに出て来ないベローシュはこのイタリアイトスギと考えてよいかもしれない
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