「同労者」第70号(2005年8月)                            目次に戻る 

論  説

 − 建設するにはどうすればよいか 

「与えられた神の恵みによって、私は賢い建築家のように、土台を据えました。そして、ほかの
人がその上に家を建てています。しかし、どのように建てるかについてはそれぞれが注意しな
ければなりません。」(コリントT 3:10)


 "教会の建設"ということが言われ続けてきました。教会もそうですが、何か物事を建てあげ
ようとするとき、目的、手段や方法、その実行といったことには、何を立てるにしてもそれらの
間にある種の共通性があります。ですから、イエス・キリストはこの世のこと、例えば砂の上に
家を建てた人と岩の上に家を建てた人を引用して、ご自分の主張を説明しておられるのです。
 一例として工業製品を製造することを考えてみましょう。
 まずどのようなものをつくるのかその製品の設計がなされます。そしてさらにその製品を構成
している部品や材料が設計されます。部品や材料のひとつひとつをどうやって造るのか、中に
は買ってくるだけのものもありますが、自分の工場でつくるものは、機械やそれを加工する内
容を決めていきます。機械そのものを造らなくてはならない場合が多々あります。今まで使って
きた機械で製造出来る製品でも、少なくともその機械を新しい製品に適合するように調整した
り、操作したりすることが必要になります。また単に機械があればよいだけでなく、その機械を
操作してものをつくる技量をもった作業員が必要です。そういう作業員がいない場合、担当す
る人びとが作業ができるようになるための訓練がなされます。もし造る製品が工芸品のような
ものでしたら、機械以上に、作業者の技能やセンスが重要でしょう。
 作業員、機械、部品、原材料、といったものがそろったら、目的とする製品の製造がなされま
す。どのように造るかマニュアルが用意されますが、しばらく製造するとさらによい造り方が分
かってきて、そのマニュアルはたいてい改訂されます。
 たくさん物を造ると必ず規格に適わない不適合品もできます。不適合品ができるとその原因
は、設計、原材料や部品、機械、作業などのどれにあるのかを究明し、改善することになりま
す。
 ものを造る現場では、この不適合品の原因究明とその改善に多くの労が払われます。
 私たちが建てるあげたいものは一体どのようなものでしょう。その設計は定まっているでしょ
うか。それをどのように造るか決めているでしょうか。それを建てる技量はあるでしょうか。やっ
てみたときどんな不具合があるでしょうか。それはどうすれば改善できるでしょうか。
 原因は何層にも重なっている場合があります。つまり不具合の原因の原因またその原因、・・
というものがあります。
 兄姉のする信仰のお証は私たちにヒントを提供しているのです。
 こういう事柄に知恵を得て、よい建てあげをさせて頂こうではありませんか。

  

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