「同労者」第76号(2006年2月)
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各論の前にまずイスラエルにおける祭司、予言者、王という三つの職務の歴史上の経緯を
考えてみます。
アブラハムはこの三つの職務を兼ね備えていました。彼は自分が住んだ各地に祭壇を築
き、たびたび全焼のいけにえを捧げていました。「その後、主はアブラムに仰せられた。『あな たは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。 ・・』 アブ ラムは主がお告げになったとおりに出かけた。・・アブラムがカランを出たときは、七十五歳で あった。・・アブラムはその地を通って行き、シェケムの場、モレの樫の木のところまで来た。・・ そのころ、主がアブラムに現われ、そして『あなたの子孫に、わたしはこの地を与える。』と仰せ られた。アブラムは自分に現われてくださった主のために、そこに祭壇を築いた。彼はそこか らベテルの東にある山のほうに移動して天幕を張った。西にはベテル、東にはアイがあった。 彼は主のため、そこに祭壇を築き、主の御名によって祈った。」(創世記12:1〜8)創世記13章 ではヘブロンにあるマムレの樫の木のそばで祭壇を築いたとあります。モリヤの山でイサクを 捧げる記事においても、彼らの会話から、アブラハムが全焼のいけにえを捧げることは日常的 に行われており、必要となるものがなんであるかイサクもよく知っていたことが分かります。こ れは彼が祭司の地位を持っていたことを示しています。
彼はまた神から預言者と認められていました。「神は夢の中で、彼(ゲラルの王アビメレク)に
仰せられた。・・『・・あの人は預言者であって、あなたのために祈ってくれよう。・・』」(創世記20: 6〜7)
彼はまた独立の首長であって、王の地位にあることは、創世記14章に記されているソドムの
王たちの戦争の記事から明らかです。
イサク、ヤコブ、ヨセフといったアブラハムの後に続く族長たちはみな同様にこの三つの職務
を兼ね備えていました。
祭司の職務が他の職務と分かれてそれだけを職務とするようになったのは、モーセとアロン
の時でした。「あなたは、イスラエル人の中から、あなたの兄弟アロンとその子、すなわち、アロ ンとその子のナダブとアビフ、エルアザルとイタマルを、あなたのそばに近づけ、祭司としてわ たしに仕えさせよ。」(出エジプト記28:1)
また王の職務が分かれたのは、サウルが王として立てられたときからでした。(サムエル記9
章〜10章)
以降この三つの職務は、中にはエゼキエルのように兼務の人もいましたが、イエス・キリスト
に至るまでそれぞれ別の人物がその職につきました。(以下次号) |