「同労者」第78号(2006年4月)                           目次に戻る

聖書研究

万人祭司・万人予言者・万人王(第4回)
仙台聖泉キリスト教会  野澤 睦雄
 
2.旧約における三つの職務の考察(つづき)
 2.1 祭司(つづき)

 王は、国が成り立っていくための実生活における様々な事柄を指揮したり、争いごとを裁い
たり、軍隊を率いて国を守ることがその職務の中心です。予言者は神のことばを取り次ぐこと
がその職務の中心です。祭司は人間を神に受け入れていただけるようにする手助けをするこ
とがその職務の中心です。神はそのために祭司のなすべきことを定められました。
律法によって罪が明らかになりましたが、それが与えられたのはシナイ山においてでした。そこ
は神に召されたモーセと従者ヨシュア以外誰も近づくことのできない場所でした。「山に触れる
者は、だれでも必ず殺されなければならない。・・シナイ山は全山が煙っていた。それは主が火
の中にあって、山の上に降りて来られたからである。」(出エジプト19:12、18)
 律法が与えられた後、幕屋を建てることが命ぜられ、それが建てられました。
幕屋の入り口は垂れ幕でした。幕屋の中は「聖所」(出エジプト26:33)と呼ばれましたが、その中
が更に第二の垂れ幕で仕切られ、第二の垂れ幕の内側は「至聖所」(出エジプト26:33)と呼ばれ
ました。ヘブル人への手紙の記者はこう解説しています。
「この望みは、私たちのたましいのために、安全で確かな錨の役を果たし、またこの望みは幕
の内側にはいるのです。」(ヘブル6:19)「イエスはご自分の肉体という垂れ幕を通して、私たちの
ためにこの新しい生ける道を設けてくださったのです。」(ヘブル10:20)
 つまり、この聖所の垂れ幕はイエス・キリストの体を象徴しているのです。そしてイエスが十字
架上で死なれたとき、この聖所と至聖所を隔てる第二の垂れ幕をまっぷたつに裂いて、神はそ
のことに証印を押されました。「そのとき、イエスはもう一度大声で叫んで、息を引き取られた。
すると、見よ。神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた。」(マタイ27:50〜51)
 また契約の箱が作られ、神ご自身が書かれた律法の石板がその中に納められました。契約
の箱の蓋は「贖いのふた」(出エジプト25:17)と呼ばれました。この蓋もイエス・キリストを象徴する
ものであって、律法に蓋をする、つまり私たちがなし得ない律法の要求を、代わってイエスが満
たしてくださることを意味します。幕屋を建てることを命じられた神は、この至聖所に置かれた
契約の箱の贖いの蓋の上から語られました。シナイ山の神は罪人である人間には恐ろしいお
方でしたが、幕屋の神は来るべきイエス・キリストを前提に、至聖所に置かれた契約の箱の蓋
の上からやさしくお語りになりました。(以下次号)



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