「同労者」第79号(2006年5月)                           目次に戻る 

三浦綾子読書会

 三浦綾子読書会とは(24) − 
    東京ミレニアム・チャーチ 牧師  長谷川 与志充
 
 今回は、前回ご紹介した「子供部門」と同じく2006年3月に発足したばかりの「平和部門」を
ご紹介させていただきます。この部門は、三浦綾子さんが敗戦という体験を通して深く教えられ
た「平和」について学んでいくことを目的としていますが、以下に綾子さんの「平和」に関する言
葉をいくつか掲載しておきます。

「戦争の恐ろしさは数々ある。その中で最も恐ろしいのは、人間が人間性を失うことだと私は
思う。人間に生まれて来た以上、私たちは人間として生き、人間として死んで行く権利がある。
そしてそれは義務でもある。私には殺すという行動が、真の人間の執るべき行動とはどうして
も思えない。いかなる理由があろうとも、人は人を殺してはならない。この一線を守らぬ限り、
人間の生活は獣の生活に堕ちてしまう。私たちは人を殺すために生まれて来たのでもなく、殺
されるために生まれて来たのでもない。私たちは愛し合うために生まれて来たのだ。」(わが青
春に出会った本)

「人間はしばしば妙なものを進歩であると錯覚する。大量殺戮の兵器を造ることさえ最大の進
歩であるかのごとく錯覚する。戦いの最も進歩した形は戦わないということだ。人間同士が兵
器によって殺し合うことなく、言葉によって話し合うことだ。それが戦いの最も進歩した姿だ。」
(北国日記)


「確かだね。俺もそう思うよ。韓国に行って、俺でさえ、何となくシュンとして帰って来たものな。
愛国心というものは、自分の国が大きくなればいいとか、金持ちになればいいといったもんじゃ
ないな」「そうよねえ。国を構成する単位は、個人ですものね。要するにその個人が人間ら しく
生きていける、これが一番大事なことでしょう?」「夕起子、俺のいない間に偉くなったね」寛が
寝ている夕起子を横目で見た。「からかわないで。わたしね、愛国心ってほんとにどんなことか
しらって、まじめに考えてるのよ。少しぐらい貧しくてもね、これが日本人よ、これが日本の国よ
って子どもたちに言える国になってほしいの。どこの国をも侵略しない、人の命を奪わない、そ
んな国になってほしいの。おかしいかしら」(青い棘)
 
 3月の初めての集会では、正田眞次先生(元旭川めぐみキリスト教会牧師、「学座・とうごま
の葉の下」代表)から「平和つくりの歩み」というメッセージをいただきましたが、今後も引き続
き「平和」についての学びを深めて行く予定です。


リンク:三浦綾子読書会 http://miura-ayako.com



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