「同労者」第79号(2006年5月)                           目次に戻る

信仰良書

− 神 へ の 道  (63) 
D.L.ムーディー 著   仙台聖泉キリスト教会 山田 大 訳
 
  (前回より)暫く前、私の友人の一人がキリストの御前に出て、自分自身と財産とを献げること
を願いました。しかし以前彼は政府と取り引きをして騙し取っていたのです。彼が救われた時
にこのことが浮かび上がって来て、彼の良心が彼を悩ませました。彼は「私は財産を献げたい
のですが、神が受け取ってくださらないように思えるのです」と言いました。彼は恐ろしい葛藤を
抱えていました。彼の良心が常に頭をもたげて彼を悩ませました。ついに彼は1500ドルの小
切手を切って合衆国財務省に送りました。彼は私に、それを成し終えた時大きな祝福を受けた
ことを語りました。それは「悔い改めにふさわしい実」を結んだのです。非常に多くの人々が神
に光を叫び求めているに違いありません。しかし不真実な故にそれを受けられないのです。
  以前、私が説教をしていると、一人の人が私のところに来ました。彼はまだ32歳でしたが、
髪の毛が真っ白でした。彼は言いました「私は白髪頭ですが、まだ32歳であることをあなたに
知っていただきたいのです。12年に渡って大きな重荷を背負っています」。彼は誰かに聞かれ
ることを恐れるかのようにまわりを見渡して小声で言いました「父が死んで、母に地域新聞社を
遺しました。父が遺したものはそれだけで、それが母の財産のすべてでした。父の死後その新
聞社は衰え始め、私は母が急速に困窮の状態に陥っていくのがわかりました。その建物と新
聞社には1000ドルの保険が掛けられていたので、私は20歳の時にその建物に火をつけて1
000ドルを手に入れ、母に渡しました。12年の間その罪が私を悩ませ続けています。私は快
楽や罪にふけることでそれを紛らわそうとしました。私は神を呪いました。私は背信に走ったの
です。私は聖書が真実ではないことを立証しようとしました。私は出来ることはすべてしました。
しかしこの12年間ずっと苛まれ続けているのです」。
 「そこから抜け出せる道がありますよ」私は言いました。「どうやってですか」と彼が聞きまし
た。「償いをするのです。さあ座って利息の計算をしましょう。そしてその会社にお金を払うので
す」。
  赦される道があることを見出した時の彼の顔の輝きはきっと出会った人をも幸せにしたことで
しょう。彼は言いました、もし赦されることが出来るのならば自分はむしろ喜んでお金と利息を
支払います、と。
  今日、進んで罪を捨て去らず告白もしないことの故に、暗闇と束縛の中にいる人々がいま
す。私は、もし人が進んでその罪を告白しないなら、どうやって赦される希望があるのかわかり
ません。


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