「同労者」第79号(2006年5月)                           目次に戻る

聖書研究

万人祭司・万人予言者・万人王(第5回)
仙台聖泉キリスト教会  野澤 睦雄
 
2.旧約における三つの職務の考察(つづき)
 2.1 祭司(つづき)

 幕屋、契約の箱と贖いの蓋につづいて、そなえのパンを乗せる机とその付属品、燭台、香の
壇、全焼のいけにえの祭壇とその道具、洗盤とその台などの用具や調度品がつくられました。
祭司がそれらを用いて神に仕え、贖いの儀式をするものです。
 イエス・キリストは最後の晩餐のとき、
 「また、彼らが食事をしているとき、イエスはパンを取り、祝福して後、これを裂き、弟子たちに
与えて言われた。『取って食べなさい。これはわたしのからだです。』 また杯を取り、感謝をささ
げて後、こう言って彼らにお与えになった。『みな、この杯から飲みなさい。
 これは、わたしの契約の血です。罪を赦すために多くの人のために流されるものです。』」(マタ
イ26:26〜28)
と弟子たちに言われましたが、幕屋ではパンと犠牲の血が供えられました。
 幕屋の配置は決められていて、入り口が東側にあり、西側が至聖所であって、あかしの箱と
も呼ばれている契約の箱が置かれ、その前が幕屋の中を仕切る第二の垂れ幕で仕切られま
した。聖所の北側に机が置かれ、その上にパンが供えられました。聖所の南側に燭台が置か
れ、オリーブ油からなる香油でともしびがともされました。垂れ幕を隔てた契約の箱の前に香
の壇がおかれ、それをまねて同じものを造ってはならない特別の香が焚かれました。
「この香は聖徒たちの祈りである。」(黙示5:8) 香は祈りの象徴です。
 油は聖霊を象徴するものであることが知られています。
「あなたがたのばあいは、キリストから受けた注ぎの油があなたがたのうちにとどまっていま
す。それで、だれからも教えを受ける必要がありません。彼の油がすべてのことについてあな
たがたを教えるように、――その教えは真理であって偽りではありません。――また、その油
があなたがたに教えたとおりに、あなたがたはキリストのうちにとどまるのです。」(ヨハネT2:27)
聖所を照らす光は、私たちが救われていない人々の知らない聖霊による光をもっていることを
示しています。
「わたしは光として世に来ました。わたしを信じる者が、だれもやみの中にとどまることのないた
めです。」(ヨハネ12:46)
聖霊とイエス・キリストはひとつです。
 祭司は供えのパンとオリーブ油の燭台の光の間で香を焚きましたが、私たちはイエス・キリス
トの裂かれた体による贖いと、聖霊の光のうちにあって神の喜ばれる祈りを捧げることができ
ます。それはこの世の人の真似ることのできない「主の聖なる香油」なのです。(以下次号)



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