「同労者」第81号(2006年7月)                           目次に戻る

聖書研究

万人祭司・万人予言者・万人王(第7回)
仙台聖泉キリスト教会  野澤 睦雄
 
2.旧約における三つの職務の考察(つづき)
 2.1 祭司(つづき)

 万人祭司という視点で旧約の祭司について考察しています。つまり私たちは新約の祭司のつ
とめに任じられているのですから、祭司とはどのようなものであるか、旧約の祭司の規定から
学んでいます。

 前回学んだ祭司の衣装の規定が、出エジプト記28章に記されていますが、続く29章に祭司
任職の儀式が記されています。
 祭司の任職は聖別とされています。「あなたは、彼らを祭司としてわたしに仕えるように聖別
するため、次のことを彼らにしなければならない。」(出エジプト29:1)
 祭司の任職のために、衣装の他に若い雄牛1頭、雄羊2頭、種を入れないパン、油を入れた
種を入れない輪型のパン、油を塗った種を入れないせんべいとそそぎの油が必要です。
「若い雄牛一頭、傷のない雄羊二頭を取れ。種を入れないパンと、油を混ぜた種を入れない輪
型のパンと、油を塗った種を入れないせんべいとを取れ。これらは最良の小麦粉で作らなけれ
ばならない。」(出エジプト29:1〜2)
 ここにいう種とは、パンを造るときに使うイースト菌のことであって、それによってパンの生地
を発酵させてから焼くと、パンの中に炭酸ガスの微細な気泡がたくさんでき、パンがふっくらと
ふくらんで、柔らかくおいしくなるものです。
 また、任職につかうそそぎの油の調合方法は、出エジプト記30章に記されています。
「あなたは、最上の香料を取れ。液体の没薬五百シェケル、かおりの強い肉桂をその半分─
─二百五十シェケル──、におい菖蒲二百五十シェケル、桂枝を聖所のシェケルで五百シェ
ケル、オリーブ油一ヒン。 あなたはこれらをもって聖なるそそぎの油を、調合法にしたがって、
混ぜ合わせの香油を作る。これが聖なるそそぎの油となる。」(出エジプト30:23〜25)
 このそそぎの油は、幕屋の器具にも注がれました。そしてこの油がそそがれた器具は聖なる
ものとされました。またこの油と似たものを調合することが禁じられました。
「この油を次のものにそそぐ。会見の天幕、あかしの箱、机とそのいろいろな器具、燭台とその
いろいろな器具、香の壇、全焼のいけにえのための祭壇とそのいろいろな器具、洗盤とその
台。あなたがこれらを聖別するなら、それは、最も聖なるものとなる。これらに触れるものもす
べて聖なるものとなる。あなたは、アロンとその子らに油をそそぎ、彼らを聖別して祭司として
わたしに仕えさせなければならない。あなたはイスラエル人に告げて言わなければならない。こ
れはあなたがたの代々にわたって、わたしのための聖なるそそぎの油となる・・」(出エジプト30:
22〜33)

 祭司の任職の儀式は、以下の手順で行われました。
 まず会見の天幕すなわち幕屋の入り口の洗盤の水で体を洗いました。
「アロンとその子らを会見の天幕の入口に近づかせ、水で彼らを洗わなければならない。」(出
エジプト29:4)
次に祭司の衣装を身につけました。
「あなたは、装束を取り、アロンに長服とエポデの下に着る青服と、エポデと胸当てとを着せ、
エポデのあや織りの帯を締めさせる。彼の頭にかぶり物をかぶらせ、そのかぶり物の上に、聖
別の記章を掛ける。・・・ 彼の子らを近づけ、彼らに長服を着せなければならない。アロンとそ
の子らに飾り帯を締めさせ、ターバンを巻きつけさせる。永遠のおきてによって、祭司の職は
彼らのものとなる。あなたは、アロンとその子らを祭司職に任命せよ。」(出エジプト29:5〜6)
次に、そそぎの油を頭からそそぎました。
「そそぎの油を取って、彼の頭にそそぎ、彼に油そそぎをする。」(出エジプト29:7)
 次に、罪のためのいけにえが捧げられました。その儀式は、大祭司アロンが犠牲の雄牛の
頭に手を置き、会見の天幕の入口で、その牛を殺し、その血を祭壇の角に塗り、残りの血は
祭壇の土台にそそぎました。それから、内蔵をおおうすべての脂肪、肝臓の小葉と腎臓とその
上の脂肪は祭壇の上で焼かれ、肉と皮と汚物は宿営の外で焼かれました。これは罪のための
いけにえです。 「あなたが、雄牛を会見の天幕の前に近づけたなら、アロンとその子らがその
雄牛の頭に手を置く。あなたは、会見の天幕の入口で、【主】の前に、その雄牛をほふり、その
雄牛の血を取り、あなたの指でこれを祭壇の角につける。その血はみな祭壇の土台に注がな
ければならない。その内臓をおおうすべての脂肪、肝臓の小葉、二つの腎臓と、その上の脂肪
を取り、これらを祭壇の上で焼いて煙にする。ただし、その雄牛の肉と皮と汚物とは、宿営の
外で火で焼かなければならない。これは罪のためのいけにえである。」(出エジプト29:10〜14)
 ヘブル人への手紙の記者はこう記しています。
 「動物の血は、罪のための供え物として、大祭司によって聖所の中まで持って行かれます
が、からだは宿営の外で焼かれるからです。ですから、イエスも、ご自分の血によって民を聖な
るものとするために、門の外で苦しみを受けられました。ですから、私たちは、キリストのはず
かしめを身に負って、宿営の外に出て、みもとに行こうではありませんか。」(ヘブル13:11〜13)
 祭司はまず自らが、罪のためのいけにえによって贖われたものとなることが必要でした。私
たちも新約の祭司をつとめるために、まず自分の罪が贖われなければなりません。次に雄羊
二頭による儀式があります。(以下次号)



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