「同労者」第82号(2006年8月)
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「愛する者よ。あなたが、たましいに幸いを得ているようにすべての点でも幸いを得、また健康
であるように祈ります。」(ヨハネV1:2)
この世の知識の活用という表題を掲げましたが、この世の知識といってもそれは様々で、非
常にたくさんの事柄があります。そして、その多くは知らなくても一向に支障がありません。しか し、知っていることが必要なこともたくさんあります。それらの必要なことのひとつとして、食品の 栄養成分について取り上げたいと思います。
クリスチャンであろうとなかろうと、体が健康であるということは非常に大切です。
体の健康は、生活習慣、運動、食物、睡眠、社会(家庭や学校、職場等々)における活動など
によって支えられています。先月号で奇跡について論じましたが、神は現在の自然法則に従っ てことを進められることがほとんどであって、奇跡はほとんど起きないことだから奇跡なので す。私たちの健康も例外ではなく、神がお定めになった自然法則に従って、健康になったり、 不健康になったりします。もちろん病気ということがあって、私たちの努力の及ばない部分もあ ります。けれども、健康、不健康を自ら決めている部分も多いのです。何をどのくらい食べるか という問題は食事を用意する人にかかっています。日本ではたいていその家庭の主婦です が。
もちろん、家庭の主婦の皆さんは栄養に関する知識をお持ちであることでしょう。ですからそ
れに加えることができることとして、私たちの健康の大切な一要素である食品の栄養成分を知 る手段が、大変簡単になったことをご紹介します。それはインターネットの利用です。
インターネットにアクセスし、「食品栄養成分表」を検索すると、さまざまなサイトで、それを無
償で提供しています。
それらの中で、下記の
1 <食品成分データベース>
2 <栄養計算および食品栄養素のデータベース_free フリー無料>
などが便利ですが、他にもたくさんあります。
上記2に栄養計算プログラムがありますので、試した状況を記します。朝食の例で、
<米飯食例>
ご飯(男茶碗/精白米) 1杯 + (カットわかめ)みそ汁1人分 1杯 + 納豆1パック + (焼きのり)
味つけのり1パック + 鶏卵(全卵)Lサイズ1個 + サラダ1人分
<パン食例>
食パン(6枚切り)1枚 + マーガリン小さじ1杯 + (スライスチーズ)1枚 + ロースハム2枚 + サラ
ダ1人分 + (普通牛乳)コップ1杯
としてみました。計算結果を下の表に示します。
<米飯食例> <パン食例>
栄養士でなくても、このような計算が簡単にできるようになったわけです。
次に、どの栄養素、例えば炭水化物、脂質、タンパク質はそれぞれどれだけ必要か、カルシ
ウム、マグネシウム、リン、鉄などのミネラル類、ビタミン類、食物繊維などを、数日間に1日当 たりどれくらい摂取することが必要であるといった基礎知識がまず必要になります。
日本人の普通の食事では、慢性的に不足するのがカルシウムであると言われています。
カルシウムというと骨がまず思い浮かびます。確かに体の中でカルシウムは、骨に99%以
上存在しますが、残り1%は血液や細胞の中、つまり全身に存在し、ナトリウム、カリウム、リ ン、マグネシウムなどとともに、体液の平衡維持、酸性・アルカリ性のバランス、血液の凝固、 筋肉の収縮、神経の情報伝達などに関与しています。ですから、他の栄養素を摂取しすぎない 範囲で、カルシウムを上手に摂ることが、健康上大切だと分かります。体液中のカルシウム濃 度は一定に保たれなければなりませんが、その働きに甲状腺ホルモン、副甲状腺ホルモンが 関わっていることが知られています。
カルシウムは、吸収率の問題もあり、1日800mgくらい必要です。
カルシウムは単に食品に含まれている重量だけでなく、消化吸収されやすい形(化合物)とし
て存在するかも大切です。つまり、食品によって同じ重量のカルシウムが含まれていても、差 があるということです。併せて、カルシウムの吸収を助けたり、逆に吸収を阻害する栄養素が 知られています。
吸収を阻害するものとして、蓚酸が知られています。蓚酸はほうれん草に多い物質です。で
すから、ほうれん草を食べるときは、カルシウムを増やすことが必要なわけです。そのほかリン やマグネシウムも過剰摂取するとカルシウムの吸収を阻害します。
一方吸収を助けるものとして、ビタミンC、D、K、クエン酸、イソフラボンなどが知られていま
す。ビタミンDはきのこ類など、イソフラボンは大豆に含まれます。クエン酸は、レモンなどの柑 橘類、もろみ酢などに含まれます。
これらをもとに、日々の食事の工夫が必要なわけです。大切な栄養素は、カルシウムだけで
はありませんので、かなり膨大な労力を要しますが、家族の健康に大きな影響があることを思 えば、その労もこなせるのではないかと思います。
繰り返しになりますが、栄養に関わる情報が簡単に入手でき、日々の食事の栄養計算が簡
単にできるようになりました。
これを使うことは大切なことと思います。
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