「同労者」第86号(2006年12月)                           目次に戻る

JSF&OB

 「イーグルス最終戦」

 仙台聖泉キリスト教会  石井 和幸

「一つをつかみ、もう一つを手放さないがよい。神を恐れる者は、この両方を会得している。」
(伝道者の書7:18)


 先月号このコーナーで、コンサートでギターを弾いた高校生T君とY君の話を書いたが、今月
はそのY君と、大学生M君の話である。
 M君は我が教会野球部のエースで主砲である。Y君は野球嫌いではないが基本的にスポー
ツは不得意な方である。2人はこの一年、野球に於いてもそれぞれの課題に取り組んで、今期
最終戦を迎えていた。M君はエースとして今年一年マウンドを任されたが、投球フォームが安
定せずコントロールに苦しむ試合が続いた。フォアボール、フォアボール、エラーといったイー
グルスお決まりの敗戦パターンを今期も繰り返していた。また、選手兼打撃コーチに選ばれる
も、「バッティングってセンスだから教えようがないっすよね」と言ってなかなか苦労していたよう
である。Y君は野球そのものを学ぶ段階(Y君だけではないが・・・)で、ライトを守っても「オイ!ち
ゃんと構えろ! カバーに走れ!」厳しい言葉を掛けられ続けた。打ってもノーヒット。けれども試合
を重ねるごとに少しづづ力をつけていった。
 M君は10月の試合から投球フォームをガラッと変えて、安定した投球をするようになった。
そしてマウンドでもエースらしく、堂々とした姿をみせるようになった。そして最終戦M君はY君
に一言アドバイスをした。「足さばきのことを気にしちゃ駄目だよ、ちゃんとバットに当てさえす
れば打球は飛ぶんだから。シューティングゲームと同じだよ!シューティング!!」・・・M君は長距
離打者であり、アドバイスは必ずしもM君自身のスタイルではない。また今シーズンY君に打撃
を指導したのは3、4人いる。しかしM君のアドバイスは、今のY君にとって最も適切なものだっ
た。
 Y君は今季最後の打席で勝利を決定づけるタイムリーヒット、対外試合では自身初のヒットを
打った。顔をくしゃくしゃにして喜ぶ仲間たち・・・
 キリストの名のもとに、共に生きることを模索し、喜びを共にできたことに感謝し、このことを
忘れずに来年も歩んでいきたい。



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