「同労者」第90号(2007年4月)                           目次に戻る

聖書研究

万人祭司・万人予言者・万人王(第16回)
野澤 睦雄
 
2.旧約における三つの職務の考察(つづき)
 2.1 祭司(つづき)

 レビ記4章の規定は、「あやまって罪を犯し・・」(レビ記4:2)た場合で、そのための犠牲は「罪の
ためのいけにえ」(レビ記4:3)と呼ばれています。
 レビ記5章14節から6章に記されている規定は、故意に行った罪、すなわち「不実なことを行
った」(レビ記5:15)罪に対するものであって、「罪過のためのいけにえ」(レビ記5:15後半)と呼ばれ
ています。
 故意の罪については、旧約の規定ではすべての罪が赦されるのではなく、赦される罪と赦さ
れない罪の範囲がありました。
 殺人罪は赦されませんでした。「しかし、人が、ほしいままに隣人を襲い、策略をめぐらして殺
した場合、この者を、わたしの祭壇のところからでも連れ出して殺さなければならない。」(出エジ
プト記21:14)
 盗みなどの罪は、損害を与えた人に償いをした上で、主への罪過のためのいけにえをささげ
ることによって赦されました。「人が【主】に対して罪を犯し、不実なことを行うなら、すなわち預
かり物や担保の物、あるいはかすめた物について、隣人を欺いたり、隣人をゆすったり、ある
いは落とし物を見つけながら欺くなど、人が行って罪を犯すことになるどれか一つについて偽り
の誓いをする場合、この人が罪を犯し、後で咎を覚える場合、そのかすめた品や、強迫してゆ
すりとった物、自分に託された預かり物、見つけた落とし物、あるいは、それについて偽って誓
った物全部を返さなければならない。元の物を償い、またこれに五分の一を加えなければなら
ない。彼は咎を覚えるとき、その元の所有者に、これを返さなければならない。この人は【主】
への罪過のためのいけにえを、その評価により、羊の群れから傷のない雄羊一頭を罪過のた
めのいけにえとして祭司のところに連れて来なければならない。祭司は、【主】の前で彼のため
に贖いをする。彼が行って咎を覚えるようになる、どのことについても赦される。」(レビ記6:2〜7)
 新約においては、神の前にはすべての罪がキリストの贖いによって赦されます。しかし、犯し
た罪過によって、この世の司法による裁きに服さなければなりません。また神と人の前に「悔
い改めの実」を結ばなければなりません。それが旧約の規定の償いに相当しています。
(以下次号)
(仙台聖泉キリスト教会 会員)


トップへ
トップへ
戻る
戻る