「同労者」第91号(2007年5月)
目次に戻る
写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可によ
り掲載。
詳細は同氏のホームページ
又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。
(イナゴマメの写真は、O.Fragman氏撮影のものが掲載されています。この紙面には掲載で
きませんので、直接ホームページをご覧下さい。) なかった。(ルカ15:16) 多くの学者の意見ではルカ15:16のkeration(kera,tion)はいなご豆に間違いないとしている。 いなご豆は昔から聖地にあったとされるのに、旧約聖書には一回も登場して来ない。いなご豆 は成長が遅く、収穫を得るまでに20〜30年かかるという。そこで樹齢100年以上の木も多く 存在する。増殖は種による他、挿し木、接ぎ木などでも行われる。高さ10m、直径30cm以上 のものがある。木部は丈夫で木釘や歯車などに使用した。常緑樹で葉は偶数羽状複葉で光沢 がある。花は黄色〜褐色で秋に咲き、小形で短い穂状に集合し、雌雄異株である。花弁は無 く、燐片状のがくが5ケあるが早落性である。翌年の4〜5月にかけて長さ15〜20cm、幅2.5 〜3.7cmのさやを生じ、完熟しないものを圧縮すると汁が出る。さやは夏の終わりに茶色にな る。アラブ人たちはさやから一種のシロップをつくる。一本の木からこのさやが200kg程取れ る。一つのさやには5〜10ヶの種子があり、皆ほぼ同じ0.2g程度である。ダイヤモンドの重さを 秤るカラットはいなご豆のギリシャ語kerationからきているという。1カラットは0.2gである。種子 は5mm位の円盤状で、うす皮をむくと白い胚乳があり、これを粉にしたものがローカストビー ンガムである。なおマタイ3:4の「ヨハネは、らくだの毛衣を着、腰に革の帯を締め、いなごと野 蜜を食べ物としていた。」のいなごをいなご豆とする説もある。ヘブライ語のいなごhagav(bg:j)が いなご豆haruv(bWrj;;)と似ているので間違ったとする説である。いなご豆をSt. John's breadと するのはこの説からきている。別説として野蜜をいなご豆をプレスしてつくった蜜とする説もあ る。
|