「同労者」第94号(2007年8月)                           目次に戻る

聖書研究

万人祭司・万人予言者・万人王(第20回)
野澤 睦雄
 
2.旧約における三つの職務の考察(つづき)
 2.1 祭司(つづき)

 聖霊は、やがて再びおいでになるイエスのために、潔い教会を備える働きをするのですが、
五旬節の儀式にその暗示があります。 「七回目の安息日の翌日まで五十日を数え、あなたが
たは新しい穀物のささげ物を【主】にささげなければならない。あなたがたの住まいから、奉献
物としてパン──【主】への初穂として、十分の二エパの小麦粉にパン種を入れて焼かれるも
の──二個を持って来なければならない。そのパンといっしょに、【主】への全焼のいけにえと
して、一歳の傷のない雄の子羊七頭、若い雄牛一頭、雄羊二頭、また、【主】へのなだめのか
おりの、火によるささげ物として、彼らの穀物のささげ物と注ぎのささげ物とをささげる。また、
雄やぎ一頭を、罪のためのいけにえとし、一歳の雄の子羊二頭を、和解のいけにえとする。」
(レビ記23:16〜19)
 神の前に捧げられる供えのパンは、他ではすべて種を入れないものですが、五旬節の時だ
けは、種を入れたパンを、全焼のいけにえと共に焼き尽くすのです。そのほかに罪のためのい
けにえと和解のためのいけにえが捧げられました。
 パン種は「この世」を表します。イエスの体を示す小麦のパンにこの世が一緒にあるもの、そ
れは救われたままの私たちの姿でなくてなんでしょう。それが聖霊の火によって焼き尽くされ、
全く神のものとされるのです。使徒の働き2章のペンテコステの日にそれが実現し、今に至る
まで続いています。
 次に、仮庵の祭り(ユダヤ歴の7月の祭り)についてもう少し詳しく考察してみましょう。ユダヤ
歴の1月1日は、現在私たちが使用している太陽暦の3月下旬から4月半ばにあたりますか
ら、ユダヤ歴の7月は、9月の終わり頃から10月半ばということになります。7月に行われる祭
りは、3つの部分、
 ・7月1日に行われるラッパの祭り
 ・7月の10日に行われる贖罪の日
 ・7月の15日から行われる仮庵
から成っています。
 祭りの最初である7月1日については、
 「イスラエル人に告げて言え。第七月の第一日は、あなたがたの全き休みの日、ラッパを吹き
鳴らして記念する聖なる会合である。どんな労働の仕事もしてはならない。火によるささげ物を
【主】にささげなさい。」(レビ記23:24〜25)となっています。
 これに対応すると思われる、ラッパが吹き鳴らされる新約の記事は、イエスの再臨について
語るパウロの手紙の中にその記述があります。「主は、号令と、御使いのかしらの声と、神の
ラッパの響きのうちに、ご自身天から下って来られます。それからキリストにある死者が、まず
初めによみがえり、次に、生き残っている私たちが、たちまち彼らといっしょに雲の中に一挙に
引き上げられ、空中で主と会うのです。このようにして、私たちは、いつまでも主とともにいるこ
とになります。」(テサロニケT4:16〜17) この祭りの日に、地上のラッパと天使のラッパが、呼応し
て吹奏されることでしょう。その実現の日は、クリスチャンにとっては喜びの日ですが、イスラエ
ル人には、「わたしは、ダビデの家とエルサレムの住民の上に、恵みと哀願の霊を注ぐ。彼ら
は、自分たちが突き刺した者、わたしを仰ぎ見、ひとり子を失って嘆くように、その者のために
嘆き、初子を失って激しく泣くように、その者のために激しく泣く。」(ゼカリヤ書12:10)日となること
でしょう。
 その嘆きは、7月10日に行われる大いなる贖罪の日につながっていきます。「ついで【主】は
モーセに告げて仰せられた。『特にこの第七月の十日は贖罪の日、あなたがたのための聖な
る会合となる。あなたがたは身を戒めて、火によるささげ物を【主】にささげなければならない。
その日のうちは、いっさいの仕事をしてはならない。その日は贖罪の日であり、あなたがたの
神、【主】の前で、あなたがたの贖いがなされるからである。』」(レビ記23:27〜28) それは、すべ
てのイスラエルの悔い改めの日となり、彼らを潔める贖罪が行われることでしょう。
「その日、ダビデの家とエルサレムの住民のために、罪と汚れをきよめる一つの泉が開かれ
る。」(ゼカリヤ書13:1) この日は大祭司がイスラエルのすべての民の罪を贖うために、年に1度
至聖所に犠牲の血を携えて入る日です。ですからこの日、すべてのイスラエルが救われる日と
なることでしょう。「兄弟たち。私はあなたがたに、ぜひこの奥義を知っていていただきたい。・・
その奥義とは、イスラエル人の一部がかたくなになったのは異邦人の完成のなる時までであ
り、こうして、イスラエルはみな救われる、ということです。こう書かれているとおりです。『救う者
がシオンから出て、ヤコブから不敬虔を取り払う。これこそ、彼らに与えたわたしの契約であ
る。それは、わたしが彼らの罪を取り除く時である。』」(ローマ11:25〜27)
 こうしてイスラエルが回復された後、7月15日からの仮庵の祭りが始まります。「この第七月
の十五日には、七日間にわたる【主】の仮庵の祭りが始まる。・・第七月の十五日には、七日
間にわたる【主】の祭りを祝わなければならない。最初の日は全き休みの日であり、八日目も
全き休みの日である。最初の日に、あなたがたは自分たちのために、美しい木の実、なつめ
やしの葉と茂り合った木の大枝、また川縁の柳を取り、七日間、あなたがたの神、【主】の前で
喜ぶ。年に七日間、【主】の祭りとしてこれを祝う。・・」(レビ記23:34〜44)
その意味を考察しましょう。(以下次号)
(仙台聖泉キリスト教会会員)


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