論説

               − 神に近づく (22) −

「(イエスは)また言われた。「神の国は、人が地に種を蒔くようなもので、夜は寝て、朝は起き、そうこうしているうちに、 種は芽を出して育ちます。どのようにしてか、人は知りません。地は人手によらず実をならせるもので、初めに苗、次に 穂、次に穂の中に実が入ります。」」(マルコ 4:26-28)




 ことばは完全には再現できていませんが、筆者の教会の先生が以下のような内容のことを説教中にさらっと証しされ ました。「これこれの事態に、こういう事を言われた(その内容を説明)。以前だったらむかっとするのでしたが、・・」と。 そしてそれをさらっと受け流している自分自身を観察し、自分が変わっていることを話されました。
 実はこの内容に神の恵みの働きの重要な部分が示されています。
 2016年11月号に、山田兄の「神のシステム*」という題の巻頭言が掲載されていますが、それを読んだ兄姉の間 で、その話題で賑わいました。話の発端は、野に咲く花について神がどのようにそれを咲かせなさるのかということから です。神が自然界のシステムを定められ、そのシステムに従って野の花は咲く・・。花ひとつひとつ別々におとり扱うと考 えるより、神はシステムをお造りになって、そのシステムを働かせなさることのなかで、ひとつひとつの花が咲くと考えた 方がよい、と。
 この話題は、花ひとつですが、おなじことが自然界のすべて・・全宇宙の進行にも、自然界のすべての法則にも当て はまります。さらに、神は霊の世界にも同様にシステムを定められているといえます。
 冒頭に掲げたみことばは、農夫が畑を耕して種をまけば、神のシステムに従ってそれは、芽を出し成長し、やがて実 を結ぶに至ることを説明していますが、それは「神の国は・・・のようなものである」という神の霊の世界のシステムの説 明です。
 救いに与った信者が、教会の中で真摯な信仰の歩みをするなら、めだったできごとがなくとも、すこしずつ恵みに成長 し、品性を整えられ、実を結ぶに至る、そしてどうしてそうなったか人は知らない、そのようなことがここに示されていま す。前出の先生のお証しにそれを感じ取ることができました。神はご自身の定められたシステムに従ってご自身の前を 歩む人々に、豊かに恵みを下さるお方です。
 そのような神のシステムにそったできごとは、神が法則を定められてあとは成り行きにまかせられるというように見え ます。実際にはそのシステムの中で神は恵みの働きをして下さるのですが。
 一方、ダビデのお取り扱いについて述べたように、神が成り行きに任せず積極的に一人の人物の生涯に関わってく ださる場合があるわけです。もちろん神のシステムはすべてを包含しますが、「日夜起き伏しするほどに」静かになされ るみ業と、激しく働いて下さるみ業を分けて考えましょう。
 人間の体・・動物もそうですが・・には傷ついたり、病気になったりしたときにそれが癒える作用が働きます。それは通 常時間がかかりゆっくり癒やされます。一方、イエスが在世中になされたように、また使徒の働きにもたくさんその事例 がありますが、神は病を瞬時に癒やすこともされます。瞬時の癒やしは、神がご自分の定められたシステムを、その時 だけ変えられたもののように見えます。
 神は、自分が定めことを変えることができなかったペルシャの王のようなお方ではありません。
 ダニエルを獅子の穴に入れたダリヨス王(ダニエル書 6章)や、エステル記のアハシュエロス王が、その自分の決めたこ とに縛られた(エステル記 8:8)ペルシャの王として登場しています。
 しかし神はご自分のなさることをこのように表現しています。
「主からエレミヤにあったみことばは、こうである。「立って、陶器師の家に下れ。そこで、あなたに、わたしのことばを聞 かせよう。」 私が陶器師の家に下って行くと、ちょうど、彼はろくろで仕事をしているところだった。 陶器師は、粘土で制 作中の器を自分の手でこわし、再びそれを陶器師自身の気に入ったほかの器に作り替えた。それから、私に次のよう な主のことばがあった。・・・──主の御告げ──見よ。粘土が陶器師の手の中にあるように、イスラエルの家よ、あな たがたも、わたしの手の中にある。わたしが、一つの国、一つの王国について、引き抜き、引き倒し、滅ぼすと語ったそ の時、もし、わたしがわざわいを予告したその民が、悔い改めるなら、わたしは、下そうと思っていたわざわいを思い直 す。 わたしが、一つの国、一つの王国について、建て直し、植えると語ったその時、もし、それがわたしの声に聞き従 わず、わたしの目の前に悪を行うなら、わたしは、それに与えると言ったしあわせを思い直す。・・・」(エレミヤ書 18:1-10)
 神はご自分が決めたことを、それを受ける人間の側の如何によって、変えると言われます。
 神は更に、ご自分のシステムを変える力を人にも与えられました。それは「信仰のシステム」です。
 前述の病の癒やしは、聖霊の賜として神が特定の人に授けなさることが聖書に書かれています(コリントT 12:9)し、イ エスは、信仰によってすべての人がそうできると宣言しておられます(マルコ 11:21-24)。
 霊的な恵みも信仰によって受けることができることは明らかです。
 繰り返しになりますが、神に近づく人に、神は特別なお取り扱いを通し、また日々の生活の中で静かに進行する成長 によって、恵み豊かであられます。



(システムということばの意味を辞書でひいてみました。)
*システム
(広辞苑の説明)
「複数の要素が有機的に関係しあい、全体としてまとまった機能を発揮している要素の集合体。組織。系統。仕組み。」

(Bookshelf Basicの説明)system
1.系統;組織網;機構,装置,システム;組織(体系),編成(方式).
2.(知識・思想などの)体系,学説,〔天〕仮説.
3.(組織的な)制度,機構.
4.方式,方法,手順;イ正しい方針,順序正しいやり方.
5.(天体についての)系;世界,宇宙.
6.《the 〜》〔生〕(身体器官の)系統,組織.
7.《the 〜, one's 〜》身体,全身:.
8.性格,人格.
9.〔生〕(分類)法.
10.〔気象〕気圧配置[状況].
11.〔地質・化・結晶〕系.
12.《the 〜, one's 〜》全体,全身.






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