ショートコラム ねだ

− 祈りの子 −


 イサクがアブラハムとサラの祈りの子であったことには疑う余地がない。たとえ祈った、祈ったと書いてなくても。

 ヤコブはイサクの祈りの子であった。

「イサクが、パダン・アラムのアラム人ベトエルの娘で、アラム人ラバンの妹であるリベカを妻にめとったときは、四十歳 であった。 イサクは自分の妻のために主に祈願した。・・それでその子をヤコブと名づけた。イサクは彼らを生んだと き、六十歳であった。」(創世記 25:20-26)

イサクとリベカの20年間の祈りがそこにあった。

 ヨセフは、ラケルの祈りの子であった。

「神はラケルを覚えておられた。神は彼女の願いを聞き入れて、その胎を開かれた。 彼女はみごもって男の子を産ん だ。そして「神は私の汚名を取り去ってくださった」と言って、その子をヨセフと名づけ、「主がもうひとりの子を私に加え てくださるように」と言った。(創世記 25:22-24)

神はその願いをもかなえてもう一人男の子を与えられたが、その妊娠中に、ヤコブは神が「ベテルに住みなさい。」(創 世記 35:1)と言われたのに、それに従わず、家族を連れて旅をした。その旅の途中でラケルはベニヤミンを産んだけれ ども死んでしまった。きっと神の言われたようにベテルに住みつづけていたなら、ラケルは死ななかったかもしれないと 私は思っている。

彼女はイエスが生まれたベツレヘムの近郊に葬られた。

ベニヤミンの子孫はユダの子孫と一緒にユダ王国にいた。イエスはユダ族の血筋にあたるが、パウロがベニヤミン族 であることに興味がわく。

 サムエルはハンナの祈りの子であった。

「ハンナの心は痛んでいた。彼女は主に祈って、激しく泣いた。そして誓願を立てて言った。「万軍の主よ。もし、あなた が、はしための悩みを顧みて、私を心に留め、このはしためを忘れず、このはしために男の子を授けてくださいますな ら、私はその子の一生を主におささげします。そして、その子の頭に、かみそりを当てません。」ハンナが主の前で長く 祈って・・・・」(サムエル記T 1:10-12)

「日が改まって、ハンナはみごもり、男の子を産んだ。そして「私がこの子を主に願ったから」と言って、その名をサムエ ルと呼んだ。」(サムエル記T 1:20)

 バプテスマのヨハネはザカリヤとエリサベツの祈りの子であった。

「ユダヤの王ヘロデの時に、アビヤの組の者でザカリヤという祭司がいた。彼の妻はアロンの子孫で、名をエリサベツ といった。ふたりとも、神の御前に正しく、主のすべての戒めと定めを落度なく踏み行っていた。 エリサベツは不妊の女 だったので、彼らには子がなく、ふたりとももう年をとっていた。さて、ザカリヤは、自分の組が当番で、神の御前に祭司 の務めをしていたが、祭司職の習慣によって、くじを引いたところ、主の神殿に入って香をたくことになった。彼が香を たく間、大ぜいの民はみな、外で祈っていた。ところが、主の使いが彼に現れて、香壇の右に立った。これを見たザカリ ヤは不安を覚え、恐怖に襲われたが、御使いは彼に言った。「こわがることはない。ザカリヤ。あなたの願いが聞かれ たのです。あなたの妻エリサベツは男の子を産みます。名をヨハネとつけなさい。その子はあなたにとって喜びとなり楽 しみとなり、多くの人もその誕生を喜びます。彼は主の御前にすぐれた者となるからです。彼は、ぶどう酒も強い酒も飲 まず、まだ母の胎内にあるときから聖霊に満たされ、そしてイスラエルの多くの子らを、彼らの神である主に立ち返らせ ます。彼こそ、エリヤの霊と力で主の前ぶれをし、父たちの心を子どもたちに向けさせ、逆らう者を義人の心に立ち戻ら せ、こうして、整えられた民を主のために用意するのです。」(ルカ 1:5-17)

 祈りの子が神の前に、すばらしい人物となり、よい働きをしたことは、信仰者たちのあいだに知れ渡っている。

 私はとりわけ、ヨセフに魅力を感じる。

彼の生涯には、私たちの学ぶべき多くの宝が隠されている。


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