「同労者」第9号(2000年6月)   随想に進む   目次に戻る   紙上メッセージに戻る

聖書の植物

 コムギ(小麦) Ttriticum aestivum L.
(英) wheat  イネ科
  「主はマムレの樫の木のそばで、アブラハムに現れた。彼は日の暑いころ、天幕の入り口
にすわっていた。彼が目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。…アブラハム
は天幕のサラのところに急いで戻って、いった、『早く、三セアの上等の小麦粉をこねて、パン
菓子を作っておくれ。』…」(創世記18:1〜6)
 今月は麦類を取り上げてみます。日本では、麦は畑に畝をつくり整列して作付けしますが、イ
スラエルでは下の写真のように地面全体に種をばらまく方法が採られているようです。日本で
は落ち穂拾いできるほどの取り残しは出ませんが、むこうの人々は蒔くこと同様刈ることも大
雑把なのかもしれません。拾えるくらい落ち穂が残るのですから。
 麦は秋に蒔き、春に収穫します。芽が出て、茎が数cm伸びたら麦踏みといって伸びた麦を
踏みつけます。冬、雪が積もる地方では、春になって雪が解けるとまた麦踏みをします。霜の
ために浮きあがった土を固め、根が地面から離れてしまうことを防ぐとともに、麦の茎が折れ、
その折れた部分から脇芽がでて茎の数が増えます。そうすると穂が沢山ついて収量が増える
からです。踏まれた麦の姿はクリスチャンが豊かに実を結ぶ道を示している様です。
「一粒の麦がもし地に落ちて死ななければ、それは一粒のままです。しかし、もし死ねば、豊か
な実を結びます。」(ヨハネ12:24)
「主は、最良の小麦をイスラエルに食べさせる。」(詩編81:16)
「今は小麦の刈り入れ時ではないか。…」(サムエルT12:17)
「小麦を蒔いても、いばらを刈り取り、労苦してもむだになる。…」(エレミヤ12:13)
「また手に箕を持って脱穀場をことごとくきよめ、麦を倉に納め、殻を消えない火で焼き尽くされ
ます。」(ルカ3:17)
「シモン、シモン。見なさい。サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけ…」(ルカ22:31)


オオムギ(大麦) Chorden vulgare
(英) barlry イネ科

「…亜麻と大麦は打ち倒された。大麦は穂を出し、亜麻はつぼみをつけていたからである。し
かし、小麦とスペルト小麦は打ち倒されなかった。これらは実るのがおそいからである。」(出エ
ジプト9:31〜32)
「アブシャロムは家来たちに言った。『見よ。ヨアブの畑は私の畑のそばにあり、そこには大麦
が植えてある。行ってそれに火をつけよ。』」(サムエルU14:30)
「あなたがたは、ひとつかみの大麦のため、…」(エゼキエル13:19)



ドクムギ(毒麦) Lolium temulentum L.
(英)darnel イネ科

「天の御国は、こういう人にたとえることができます。ある人が自分の畑に良い種を蒔いた。と
ころが人々が眠っている間に、彼の敵が来て麦の中に毒麦を蒔いて行った。…」(マタイ13:24〜
30、36〜43)
「ある安息日に、イエスが麦畑を通っておられたとき、弟子たちが麦の穂を摘んで、手でもみ出
してたは食べていた。」(ルカ6:1)
「あなたが蒔く物は、後にできるからだではなく、麦やそのほかの穀物です。」(コリントT15:37)

 麦粒はもみ殻に包まれています。このもみ殻には針状の"のげ"…"棘とげ"ではありません
…がついています。麦刈りや脱穀の時、こののげが体に触ると棘のように刺さってしまうわけ
ではありませんが、ちくちくします。収穫に苦労はつきものですが、麦の収穫はまた格別です。





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