「同労者」第60号(2004年10月)
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写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可に
より掲載。詳細は同氏のホームページ
又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。
開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。(マタイ2:11) 没薬を混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはお受けにならなかった。(マルコ15:2 3) 没薬はアフリカ北東部、南アラビア原産で、エジプトには既に紀元前1700年に輸入され、死 者の体に塗ったり、礼拝の時に用いた。ダビデも香りをたたえ、ソロモンも香りを楽しんだ。イ エスの誕生の時と十字架上での死の直前に登場してくるこの没薬はアラビアモツヤク Commiphora abyssinicaやその他のCommiphora属の植物の樹脂である。棘を持つ枝分かれ のある低木で、小さな3つの卵形の小葉を持つ複葉であるが、乾燥地帯に育つので葉が付い ている期間は短い。花は小さな白い花である。花弁やがくは4枚で、雄蕊は8つである。乳香 の果実が乾燥しているカプセルであるのに反して、没薬の果実はジュース分の多い核果であ る。固まる樹脂も没薬では赤っぽい。また没薬は乳香のように薫香料として燃やさず、むしろ、 香料、化粧品、医薬品として使用することが多い。
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