「同労者」第98号(2007年12月)                          目次に戻る

聖書の植物

− 畑の植物から

 写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可によ
り掲載。
詳細は同氏のホームページ
         http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2005feild2.htm#f2
 又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。


  
               大麦                 大麦の原種
           Hordenum vulgare          H.spontaneumkrithe
            イネ科オオムギ属            seorah barley

亜麻と大麦は壊滅した。大麦はちょうど穂の出る時期で、亜麻はつぼみの開く時期であったか
らである。(出エジプト記9:31)
ナオミはこうして、モアブ生まれの嫁ルツを連れてモアブの野を去り、帰って来た。二人がベツ
レヘムに着いたのは、大麦の刈り入れの始まるころであった。(ルツ記1:22)
「ここに大麦のパン五つと魚二匹とを持っている少年がいます。けれども、こんなに大勢の人で
は、何の役にも立たないでしょう。」(ヨハネ6:9)
わたしは、四つの生き物の間から出る声のようなものが、こう言うのを聞いた。「小麦は一コイ
ニクスで一デナリオン。大麦は三コイニクスで一デナリオン。オリーブ油とぶどう酒とを損なう
な。」(ヨハネの黙示録6:6)
ビールの原料になり、麦飯に使用していた。最近になってまた健康上の理由から米に大麦を
混ぜる人も増えてきた。小麦よりもやや早く収穫される(3週間〜1月)ことは出エジプト記の引
用箇所からも分かる。小麦とともに、エジプト、パレスチナの主要な穀物であるが、黙示録の記
載からも分かるように大麦は小麦よりもずっと安い。大麦はそのまま、または小麦と混ぜて貧
しい人の食料としたり、家畜の餌にする。あまり雨の降らない半乾燥地の北ネゲブにも育つ。
大麦は特に肥沃な三日月地帯、ヨルダン渓谷から南トルコさらに曲がってイラククルド、南西イ
ラクにかけて野生二条種Hordeum spontaneum(Hordeum vulgare subsp. spontaneum)が広
く、密に分布しているので、これが栽培されていたもの、または野生のものから突然変異など
で六条大麦が出来た可能性が強い。大麦の頴果は、外頴と内頴に包まれていて、これが完熟
した後にくっついているのを皮麦、内外頴から取り出せるものを裸麦といっている。裸麦は食
用によく、皮麦はビール製造や家畜の餌によい。
Dukeは大麦の薬用について種々のべているが、大麦のあら粉は下痢や炎症によいようであ
る。日本でも大麦の種子を発芽させたもやしの乾燥品を麦芽と言い、澱粉、蛋白、およびそれ
らの分解酵素を麦芽糖やビタミン類とともに含み、消化、健胃薬として用いられる。




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