「同労者」第56号(2004年6月)        信仰良書に進む    目次に戻る

三浦綾子を読む  (1)
− 道ありき −
                                  東京ミレニアム・チャーチ 牧師  長谷川 与
志充
 
 三浦文学をこのコーナーでは順に紹介させていただきますが、三浦文学を読むために必読
の書がここでご紹介する「道ありき」です。この本は三浦綾子の自伝で、それ以前の教師時代
の話も含まれていますが、その中心は24歳から37歳までの彼女自身の人生が赤裸々に描
写されています。これから様々な書をこのコーナーでご紹介させていただきますが、すべての
書がこの書を土台として書かれていることをまずは覚えておいて下さい。
 さて、この書で必ず知っておかなければならない重要人物は、前川正と三浦光世の二人です
が、以下に多くの人々が感動したこのお二人の言葉を書き記しておきます。

「綾ちゃん、ぼくは今まで、綾ちゃんが元気で生きつづけてくれるようにと、どんなに激しく祈って
来たかわかりませんよ。綾ちゃんが生きるためになら、自分の命もいらないと思ったほどでし
た。けれども信仰のうすいぼくには、あなたを救う力のないことを思い知らされたのです。だか
ら、不甲斐ない自分を罰するために、こうして自分を打ち付けてやるのです。」(前川正)

「綾ちゃん お互いに、精一杯の誠実な友情で交わって来れたことを、心から感謝します。綾ち
ゃんは真の意味で私の最初の人であり、最後の人でした。綾ちゃん、綾ちゃんは私が死んで
も、生きることを止めることも、消極的になることもないと確かに約束して下さいましたよ。万
一、この約束に対し不誠実であれば、私の綾ちゃんは私の見込み違いだったわけです。そん
な綾ちゃんではありませんね!一度申したこと、繰返すことは控えてましたが、決して私は綾ち
ゃんの最後の人であることを願わなかったこと、このことが今改めて、申述べたいことです。生
きるということは苦しく、又、謎に満ちています。妙な約束に縛られて不自然な綾ちゃんになっ
ては一番悲しいことです。」(前川正)

「神様、わたしの命を堀田さんに上げてもよろしいですから、どうかなおしてあげてください。」
(三浦光世)

「ぼくの気持ちは単なるヒロイズムや、一時的な同情ではないつもりです。美しい人なら職場に
も教会にも近所にもいます。でもぼくは、それよりもあなたの涙に洗われた美しい心を愛してい
るのです。」(三浦光世)

「あなたが正さんのことを忘れないということが大事なのです。あの人のことを忘れてはいけま
せん。あなたはあの人に導かれてクリスチャンになったのです。わたしたちは前川さんによって
結ばれたのです。綾子さん、前川さんに喜んでもらえるような二人になりましょうね。」(三浦光
世) 


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