「同労者」第62号(2004年12月)     ショートコラム ねだ に進む    目次に戻る
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JSF&OBの部屋

 「私の目指すクリスチャン像」
荒川聖泉キリスト教会   浅澤 弘幸
 
同労者に原稿を書くのは2回目となります。前回は、前の勤務先のイベント系事業部で働いて
いた時期で、非常に不規則な生活をしていたときでした。今回はソフトウェアの開発会社で働
いています。仕事は前の会社と関連がありますが、完全に転籍して営業担当として働いており
ます。自社のソフトウェア購入を検討している会社や大学などに訪問したり、学会や展示会で
説明をする仕事です。
そのため出張がとても多いです。札幌、仙台、宇都宮、新潟、金沢、富山、福井、名古屋、岐
阜、京都、大阪、神戸、岡山、広島、徳島、松山、福岡、長崎・・・・これらは1年半で訪問した
都市です。中でも、大阪、京都、名古屋は回数が多く、月に2回も大阪とか名古屋とかもありま
す。会社の費用で旅行するので、何も知らない人には「いいですね!いっぱい行けて、地方の
名物とかいろいろ食べられてうらやましいなぁ」と言われることが多いです。実際の仕事は、早
朝6時台の新幹線で出掛けて、一日中客先を訪問したり説明したり、あるいは展示会で朝8時
半から夜6時過ぎまで立ちっぱなしで説明することです。ですから夜に仕事が終わってホテル
に着くと、汗たっぷりの服を脱いでシャワーを浴びて(余力がある場合)、近くのラーメン屋か定
食屋(○○食堂などがある場合)で食べて、コンビニで夜食を買って一日が終わってしまいま
す。余力がない場合はシャワーも浴びずにそのままバタっと寝てしまい、次の日後悔します。
地方の名物ですが、札幌のジンギスカンと長崎の老舗ちゃんぽん店だけは得意先の人と接待
で味わいましたが、それだけです。ほとんどの場合は、人がうらやましがるようなものを食べる
余裕と時間がないのです。たまに仕事が重なってしまって、自分で行けないところを別部署の
人に代打で出張してもらうことがあります。彼らは出張から戻ってくると、男性はたいてい「いや
ー、あれはきついです。できれば次は行きたくありません」と正直に言います。女性は「神戸は
とってもよかったです。また行かせてください、札幌とか、仙台とかでも出張があったらどんどん
行きます」などと喜びます。このあたりに男女の感性の違いがあります。女性は「権利ですか
ら」と、仕事の後でたっぷりと代休をとってプライベートで観光して帰ってくることが多いですが、
男性はそんな「とんでもないこと」はできません。仕事が終わったら速攻でタクシーを捕まえて
駅まで走り、1本でも早い新幹線に飛び乗って東京へ帰ってきます。代休なぞ取っていたら取
引先から電話がかかってきて会社の同僚が困ってしまいます。仕事の進捗も遅れてしまうので
実際には取れません。自分の仕事がたまっているのに現地で観光なぞ、怖くてできるわけあり
ません。土産もよっぽど手が空いていないと買いません。普通は仕事用カバンと旅行用スーツ
ケースなどで手一杯です。
仙台と名古屋に出張するときは、仙台教会と中京教会の祈祷会に飛び入りで出席させていた
だくことがあります。自分の教会の祈祷会にもなかなか出られないのに、現地の教会の集会に
混ぜていただいて出席できるので、聖泉の教会は非常にありがたいです。個人的な感想を述
べさせていただければ、仙台教会にも中京教会の祈祷会にも、一昔前(25年位前)の荒川教
会祈祷会で感じた雰囲気を感じます。「ああ、そうだ、こういう感じだったっけ」と、出席させてい
ただく度に思います。春や秋などの学会や展示会シーズンは、日曜日も仕事で地方に出張し
ていることがあります。大阪では藤本(旧姓秋葉)峰子さんが通う阪急線、蛍池の教会に出席
させていただきました。荒川教会とよく似た雰囲気のフレンドリーな教会でした。礼拝後にカレ
ーもごちそうになりました。そういう役得もたまにあります。
毎週日曜日が仕事になるようであれば当然転職を考えますが、現在そこまではいっていない
ので、可能な限りはこの仕事を続けようとは思っております。会社規模が小さいので将来に不
安定な部分はありますが、昔から安定を考えて仕事を選択しているわけではないのでそれは
気にしません。業界自体が非常に流動的な業界であり、去年までライバル会社の営業マンだ
った(つまり敵ですね)男性が、今年は隣の机に座って同僚として(味方ですね)働いているよう
なことが普通にあります。逆にうちの会社を辞めて他社へ流れていく社員も多いです。年ごとに
仕事の内容が変化していきますので、実際に仕事と家庭(特に子育て)と教会生活とのバラン
スをとるのはなかなか簡単ではありません。たとえ将来仕事が変わることがあったとしても家
族は変わりませんし、ギター、カメラ、パソコン、グローブ、バイク1台さえあれば、どこでどんな
生活をしても、たぶんそれなりに楽しんでしまうことと思います。
私の世代の役目は、山本岩次郎牧師と親の年代が築き上げてきた荒川教会を、できるだけこ
の時代にあって光る存在にし、次の世代へ引き継ぐことだと思います。現在、荒川教会では昔
のような路傍伝道はやっていません。駅前で太鼓をドーンドーンとたたいて「悲しみある人〜」
とラッパを吹き鳴らすような宣伝活動ですね。昔は、キリスト教にまったく関心のなかった人
が、そういった路傍伝道で誘われたり、駅で特別伝道集会などのチラシを手渡されて教会にや
ってきたり、職場の先輩に連れられて集会に出て信仰をもったりした、という経験談をよく聞き
ました。結局はそういう方々が導かれて家庭を持つようになり、今に至っているわけです。
しかし時代は平成16年にもなり、なかなかそういう経緯で教会に加えられる方というのがとて
も少なくなっています。かつてのスタイルの路傍伝道も騒音問題で同じようにはできません。む
しろ最近の荒川教会に加えられている方々は、全然タイプが違います。以前は別の土地で教
会に通っていたが東京に引越してきたので教会を探していたとか、ご自分と家族の生活にマッ
チした教会を探していたときに荒川教会を見つけて来られたとか、ミッション系の学校のつなが
りで来会したなど、何らかのキリスト教的背景のある方が多くなっています。荒川教会はかなり
地味な教会だと思いますが、そのようなキリスト教会をよく知った「キリスト教玄人(くろうと)の」
方々が、東京に数ある教会の中でも荒川教会を選んで来て頂けたということを、とても感謝に
思います。
職場や病院など、さまざまな場所での山本進牧師との交友を通して教会に関連を持つ人々も
います。礼拝や集会にはめったに見えないけども、教会を訪れてはじっくり牧師夫妻と語って
ゆく人たちもいます。一声かければ野球やバスケットの試合に馳せ参じてくれる若者達もいま
す。永岡牧師夫妻や山本調さんが関わっているゴスペル系の音楽集会でも、新たな動きがあ
ります。伝道活動の場が多様化していますので、牧師や会員が社会との接点を持っている部
分はすべて伝道活動の場となる可能性があります。当然昔からもそうなのでしょうが、近年さら
に質の違う伝道活動が求められてきていると思います。そこで自分にできることをしたいと思い
ます。
以前から個人的に目指している人物像は、パウロの手伝いをしたといわれている「アクラとプリ
スキラ」の夫婦者クリスチャンです。書簡の中でパウロから「彼らによろしく」と書かれた夫婦で
す。幸いにもクリスチャンの伴侶者が与えられましたので、夫婦で教会に通うこと、教会の仕事
を担うことに何の支障もないので、これはたいへん助かります。「あたしと教会とどっちが大切
なの!」と言われませんので。サマーキャンプで長谷川先生司会の「結婚」にも出させていただ
きましたが、(結婚後でも)よい経験でした。これから結婚する若い人達は(まだまだ先と考えて
いる人ほど)どこかの機会で「クリスチャンの結婚」について、しっかり取り組んで学んだらいい
なと思いました。〈長くなって申し訳ありません〉
 


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