「同労者」第64号(2005年2月)  三浦綾子を読むに進む 目次に戻る Q&Aルームに戻る

三浦綾子読書会

 三浦綾子読書会とは(9) − 
    東京ミレニアム・チャーチ 牧師  長谷川 与志充
 
 2003年3月1日18時、「三浦光世氏講演会」の前座として行われる演劇「道ありき」の幕が
切って落とされました。
 BGMの流れる中、主人公の三浦(旧姓堀田)綾子役の姉妹がスポットを一身に浴びながら
長い一人語りを始めました。それを舞台裏で聞いていたメンバー達を見ると、一様に緊張した
面持ちで、それぞれが自らの出演に向けて静かに心を整えているのがわかりました。私自身
もその一人語りのすぐ後に出演の予定でしたので、その場面のセリフを思い起こしながら心の
準備をしていました。
 そして、ついにその一人語りが終わり、スポットライトが消え、最初の舞台に登場するメンバ
ー達が一斉に中央に駆け出しました。私も所定の位置に座り、暗闇の中からわずかな光に輝
く観客席を見てみると、ほぼ満席の客席からものすごい期待に溢れた視線が舞台に注がれて
いるのが手に取るようにわかったのです。
 しばらくして舞台の明かりが照らされ、第1幕がついにスタートしました。キャストのみんなに
はかなり緊張の表情が見て取れたのですが、時間が経つにつれてその表情も徐々にリラック
スしたものとなり、練習以上の演技を舞台上で演じているキャストの姿に私は驚きを禁じ得ま
せんでした。確かにそこには神様が働いておられることをはっきりと認めない訳にはいきませ
んでした。そして、この演劇は最後まで神様が導き、完成させて下さることを確信させていただ
いたのです。
 1時間20分程の演劇はあっという間に終わり、観客からの盛大な拍手でキャストの面々は
迎えられました。フルに明かりが灯されている舞台の上で、私は神様の祝福が私達に豊かに
注がれていることを覚えさせられたのです。
 主人公の姉妹は練習の時からリハーサルの時に至るまで、1箇所も詰まらずにセリフを言え
たことは一度もありませんでした。しかし、この本番の時だけすべてパーフェクトにセリフを言う
ことができたのです。その他のキャストも皆、それぞれの能力以上の名演技をすることができ
たのでした。
 終わった後で感想をいろいろな方々からうかがうことができたのですが、皆一様に「本当に驚
き、感動した!」との感想をいただきました。ほとんどの人は学校の学芸会にちょっと毛の生え
た程度の演劇だと予想していたようなのですが、見ているうちにぐいぐいと引き込まれ、最後の
場面では感動の涙を止めることができなかったと正直に告白して下さいました。
 こうして、読書会演劇部門は衝撃的なデビューを果たし、その後同年11月の第2回公演に
向けて上々の滑り出しをしたのですが、この後起こる大きな試練を私を含めて誰が予想し得た
でしょうか。

 

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