「同労者」第65号(2005年3月)      一度は原書を読みたい本へ進む
                          JSF&OBの部屋に戻る   目次に戻る

ショートコラム ねだ
− 世の中、気づかないことがいっぱいあるもんだ −

 この冬、寒くなってきた時仕事場の備え付けのFFストーブがつかなかったので直焚きの石油
ストーブをいれたら、パソコンのプリンターが使えなくなった。刷り上がりをみて、「感光体に結
露している」と私が言ったら、相棒が「なぜだ」と聞く。「灯油を燃やしたから部屋の湿度が上が
ったのさ」といってもまだ腑に落ちないらしい。「石油は炭化水素でしょ。だから燃やせば炭酸
ガスと水ができるのさ」とそこまで言ったら彼も合点がいった。
 面白いから、灯油18リットル燃やすとどのくらいの水ができるのか計算してみた。灯油の主
な成分は脂肪族炭化水素の中の、炭素が一列につながっていて二重結合を持たない炭化水
素で、パラフィンと呼ばれているものの数種の混合物である。パラフィンの炭素数の少ないも
のはメタンとかプロパンといったガスの類、それより少し炭素の鎖の長いのが石油ベンジンつ
まりガソリンと呼んでいる類、もうちょっと長いのが灯油の類、さらにもう少し長いのが流動パラ
フィンとよばれているもの、更に長くなると固形化してワックス類となる。
 (面倒くさい人は、ここをとばして結果だけ読んでくだされ!)パラフィンは炭素数をnとすると
水素数2n+2でできている。灯油の比重は水より少し軽く0.78くらいである。従って、灯油1
8リットルは約14kgである。灯油の平均的な炭素数を12つまり、灯油の平均的な1分子をC1
2H26と仮定してして計算してみよう。すると炭素の原子量は12、水素は1であるから灯油の
1分子の重さは、12×12+1×26=170。1分子に占める炭素の重さはの比率は、12×1
2÷170=0.85、水素は1×26÷170=0.15である。灯油18リットル中の炭素の重さ
は、14×0.85=11.9kg、水素の重さは14×0.15=2.1kgとなる。燃えて結びつく酸素
の原子量は16であるから、CO21分子の重さは44、H2O1分子の重さは18である。灯油1
4kgを燃やすと、炭酸ガスは44×11.9÷12(炭素の原子1個の重さ)≒44kgでき、水は1
8×2.1÷2(水素の原子2個の重さ)≒19kgできる。
つまり灯油18リットル燃やすと、燃やした灯油より多い19リットルの水を室内にまき散らした
ことになるのである。
プリンターはストーブをつける前、部屋が寒いままで使うしかないのでしばらくそれをやり続け
たが、毎日冷えた部屋に直焚きのストーブをつけるため、窓と言わず壁といわずいたるところ
結露する。これには参った。それで結局、FFストーブを使えるようにした。
 目に見えるこの世のことでも気づかないことがいっぱいある。まして霊の世界ではどれだけあ
ることか!!



 一度は原書を読みたい本へ進む  JSF&OBの部屋に戻る  目次に戻る   トップに戻る