同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書の植物

乳香と没薬

乳香
Boswellia carterii Birdw (英)Frankincense
カンラン科

「イエスが、ヘロデ王の時代に、ユダヤのベツレヘムでお生まれになったとき、見よ、東方の博士たちがエルサレムにやって来て、…そしてその家にはいって、母マリヤとともにおられる幼子を見、ひれ伏して拝んだ。そして、宝の箱をあけて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげた。」
(マタイ2:1~11)

 本誌に聖書の植物を取り上げてみて、いかに自分が聖書を知らないか認識を新たにしました。例えば、今回取り上げようとしている、乳香と没薬は、それが香料であるとは分かっていましたが、それが何からとれ、どのようなものか知りませんでした。過日、テレビにこの乳香と、没薬の採取の現場が放映されましたが、ゴムの採取同様に樹皮に傷をつけて樹液を集めていました。

 「主はモーセに仰せられた。『あなたは香料すなわち、ナタフ香、シェヘレテ香、ヘルベナ香、これらの香料と純粋な乳香をとれ。…これをもって…聖なる純粋な香油を作る。』」
(出エジプト30:34~35)
 「乳香はギルアデにないのか(「あるではないか」の意)。…それなのに、なぜ、私の民の娘の傷はいやされなかったのか。」
(エレミヤ8:22)

 乳香は薬として用いられ、ギルアデはその産地でした。これは今も漢方薬に使われています。

没薬
Bcommiphora myrrha (英)Myrrh
カンラン科

 没薬(ミルラ)は、祭司の任命に用いられる聖なる注ぎ油の主材料です。エジプト人がミイラをつくるときの防腐剤として用いられたため、遺体そのものをミルラと呼んだのがミイラの語源だということです。ユダヤ人はミイラにしなくても、埋葬にこれを用いました。

 「ついで主はモーセに告げて仰せられた。『あなたは、最上の香料を取れ。液体の没薬五百シェケル、かおりの強い肉桂をその半分――二百五十シェケル――、におい菖蒲二百五十シェケル、桂枝を聖所のシェケルで五百シェケル、オリーブ油一ヒン。あなたはこれらをもって聖なるそそぎの油を、調合法にしたがって、混ぜ合わせの香油を作る。これが聖なるそそぎの油となる。』」
(出エジプト30:22~25)

 王の任命に用いたそそぎの油も、同じものであったものと推測されます。(サムエルⅠ 16:12)

「前に、夜イエスのところに来たニコデモも、没薬とアロエを混ぜ合わせたものおよそ三十キログラムばかり持ってやって来た。そこで、彼らはイエスのからだをとり、ユダヤ人の埋葬の習慣に従って、それを香料といっしょに亜麻布でまいた。」
(ヨハネ19:39~40)

「人が主に穀物のささげ物を捧げるときは、…その上に油をそそぎ、その上に乳香を添え、… 祭壇の上で焼いて煙にしなさい。これは主へのなだめのかおりの火によるささげ物である。」
(出エジプト2:1~2)