聖書の植物
イト杉、レバノン杉
イト杉(ホソイトヒバ、セイヨウヒノキ)
Cupressus sempervirens (英) cypress
マツ科
今月は大槻氏の著書--大槻虎男著「聖書植物図鑑」教文館(1992)--から針葉樹をとりあげて学ばせていただきます。
ノアが箱船を造った木は、文語訳聖書には「松」となっていました。日本聖書協会の口語訳には「杉」となっています。新改訳聖書では、「ゴフェルの木」となっています。
「そこで、神はノアに仰せられた。『…地は彼らのゆえに暴虐で満ちているからだ。それで今わたしは、彼らを地とともに滅ぼそうとしている。あなたは自分のために、ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。…』」
(創世記6:13~14)
ゴフェルの木が何であるか、聖書学者の間で意見が一致していませんが、下に示すイト杉がそれであるという説が有力なようです。
「彼らはセニルのもみの木でおまえのすべての舟板を作り、レバノンの杉を使って、おまえの帆柱を作った。バシャンの樫の木でおまえのかいを作り、キティムの島々の檜に象牙をはめ込んでおまえの甲板を作った。」(エゼキエル27:5~6)「…アッシリヤはレバノンの杉。…。もみの木も、この小枝とさえくらべられない。…」
(エゼキエル31:3、8)
「主の植えたレバノンの杉も。そこに、鳥は巣をかけ、こうのとりは、もみの木をその宿としています。」
(詩篇104:16~17)
ここにもみの木と訳されているのがイトスギで、レバノンの杉と訳されているのが、レバノン杉(香柏)です。
レバノン杉(レバノンの香柏)
Ccedrus libani Loud (英) cedar
マツ科
「ソロモンはヒラムのもとに人ををやって言わせた。『…どうか、私のために、レバノンから杉の木を切り出すように命じてください。私のしもべたちも、あなたのしもべたちといっしょに働きます。…ご存じのように、私たちの中にはシドン人のように木を切ることに熟練した者がいないのです。…』…こうしてヒラムはソロモンに杉の木材ともみの木材とを彼の望むだけ与えた。」
(列王記Ⅰ 5:2~10)