聖書の植物
— 砂漠の植物から —
写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
詳細は同氏のホームページ 又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。
詳細は同氏のホームページ 又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。
アカザ科ハマアカザ属
maluach
mallow,orache, tree purslane
あかざの葉を摘み れだまの根を食糧としていた(ヨブ30:4)
この箇所はオカヒジキ、ゼニアオイなどの訳が当てられている。ヨブ記のこの箇所にだけ出てくるマルアハに対してM.Zoharyはヨブは砂漠の植物について言及しているので、ゼニアオイのようなものでなく砂漠にもっとも普通に自生するハマアカザの仲間、Atriplex halimusの可能性が大きいと言っている。そしてあるAtriplexの仲間がアラブ人の間でムラハと呼ばれていることにも、飢饉の時にはその葉を羊飼いたちや羊たちも食べることなどを根拠にしている。Atriplex halimusは砂漠でもっとも普通に生えている植物で、1〜2mの高さの元から枝分かれしれ、卵形の銀灰色の葉で毛がある。
ヨブ記のこの箇所が新改訳ではおかひじき、口語訳ではぜにあおいになっている。ゼニアオイ属のうちには砂漠にも自生しているものもあるし、殆どが食用にもなる。またおかひじきと訳したのはおそらくSalsola(オカヒジキ)属の植物を意味するのであろう。これも10種類以上もイスラエルにあり、砂漠に自生しているものもある。はっきりとした同定の困難な植物の一つである。Atriplex halimusの種を水で煮たものは催吐剤になる。