同労者

キリスト教—信徒の志す—

人物伝

- 山本岩次郎牧師の思い出(8) -

秋山 光雄

第2部  荒川教会週報抜粋集(つづき)

【1952(昭和27)年2月10日】

 会堂建築趣意書並献金申込書
 尊き聖名と御血潮を讃美致します。新しい決意と展望を以て迎えました新年も此処まで守られ誠に感謝に堪えません。当教会も創設第4周年を迎えんとする今日、内外共に充実し良き証詞を立てつつあります事は偏(ひとえ)に神の憐憫(あわれみ)と皆様の主にある御協力の賜物と唯々(ただただ)感謝の外御座いません。扨(さて)御承知の様に我教会は創設当時止むを得ずして建築されたバラックの牧師館にて集会を営んで居たものでありますが、年々の会員増加により狭隘(きょうあい)を感じ新会堂の建設は全会員のひたすらなる祈りの問題でありましたが遂に本年1月の初頭の総幹事会に於いて一役員よりの緊急動議とされ、種種協議の結果、続く教会会議(1月16日)の議案とされた事でありましたが全員、之(これ)神が本年度に対する課題として感謝と喜びの中に決議された事でありました。然し之は何分(なにぶん)創立間もない(5月25日で4週年)教会にとっては全くの信仰の決断のみでありまして勿論神の絶大なる恩寵の御業と愛兄姉大方の大擔(だいたん)なる信仰による献物によらなければなりません。
 『神の大能(たいのう)の勢威(いきおい)の活動によって信ずる我らに対する能力(ちから)の極めて大いなるとを知らしめ給はんことを願う』エペソ1の19の聖言に立って之が実現の為に御協力御援助の程偏えにお願い申上げ何卒(なにとぞ)額の多少に拘(かか)はらず予算の関係もありますので御献げいただける額を左の申込書に御記入の上会計迄御提出下さいます様にお願い申上げます。

○建坪(述) 44坪5合
○総工費(備品共) 120万円
○着工予定日 3月2日 定礎式
○工事完成予定日 5月15日
○献堂式 5月25日(第4周年記念日)
  昭和27年2月1日
              
建築委員会
顧問・牧師 山本岩次郎   石和 勝益 吉田 とく
委員長 油井 武志   酒井新太郎 青木 ミツ
副委員長 佐々木辰治   秋山 光雄 坂本 正子
会計 齋藤 一   大島清二郎 吉田ゆり子
会計 鈴木節次郎   澤出 悦夫 正久智江子
会計 高橋 愛子   齋藤 健 青木 和恵
会計 佐藤 ミチ   吉沢 恒雄 渡辺ミツ子
書記 樋口 道雄     井上千代子
        田沼 清子
                       

【1952(昭和27)年6月1日】

 献堂式を終りて
 『我らその許(もと)に来りて住処(すみか)を之(これ)とともにせん』 約(ヨハネ)14の23
 神の大いなる恩寵であり、又我らの小さき群の信仰の所産である処の新会堂の献堂式は予定の如く蔦田総理を始め近接教会の高津、船橋の牧師及び婦人伝道師を迎え又各教会代表者、有志の諸兄姉の御参加の中に執行された。すっかり準備が為され、講壇の後には聖言が総理の手によって書かれて高く掲げられている。幾分むし暑さを憶える日であったが、3時間にわたる集会を終えた。総理の幾分いつもとは違ふ調子の説教は主牧に対するもの、教会に対するもの、一般来会者に対するものと適切なおすすめの後、高津の佐藤牧師、続いて学院の石橋先生、丸の内教会、勝間田勧士、船橋教会役員岩井兄、神学院生で我教会出身の内山兄等の心からなるお祝詞を受けた。尚各教会よりの祝詞、祝電等又遠く長崎にある上野姉又旅行中の藤森兄よりの祝電は感謝であった。斯くして油井兄による献堂宣言の如く49坪2合5勺(しゃく)の会堂22坪の牧師館、計71坪2合5勺の建物が福音伝道の為に聖別されたのであった。
 願くは佐々木兄によりて為された経過報告にあったように我教会創立の精神とその過ぎ越し方の戦の歴史を忘れず更に之を栄あるものと為す為に心を新にして進むべきである。此の為に即ち福音宣証の為に献身を求むれば5、6名の兄姉が立った。尚信者として此の為に身を献げる者7、8名を数えた。献堂式と共に更に勝りて聖名の為に生きる何と栄ある事であろう。続く夜の記念伝道会はブラスバンドの応援の下に展開され第1夜は総理、約(ヨハネ)3の16を主題に100名程、第2夜には静岡、松村牧師、使1の15ペテロ立ちてを主題として70名、夕方京都の大橋牧師もお参加下さった。第3夜は船橋の岩城牧師、ルカ15:11以下により行届いたお話しであった。大雨の為か60名位。第4夜は大橋牧師、約(ヨハネ)3の1より新に生まれる事について話さる。80名位。毎夜招きに応じてすなほに恵の座に進み出る者を与えられ決心者31名を与えられた。久し振りに遠来の先生を迎えての集会で一同恵を新にされた。木曜朝、松村、大橋師を送り出してほっと一息ついた。
 献堂式は終ったが未だ終らない負たんの数々を思ひめぐらす時何か一時に疲れを覚ゆるが之からだとひびく声に励まされて筆を執る。主が我らの教会を更に祝し給はん事を祈りつつ、又総理を始め小さき群の為に労して頂いた諸先生の上に厚き感謝を献げ筆を置く。
『汝らエホバの恵ふかきをあじはひ知れ』詩34の8

 (以下次号)

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