読者の広場 <短歌>
— 函館(二) 坂と風 —
鈴木 健一
函館は、北海道南部から突き出し曲がった渡島(おしま)半島の先端にあり、津軽海峡を隔てて、青森県の大間岬と向かい合っています。函館湾は、さらに海に突き出た感じで陸続きになった陸繋島(りくけいとう)である函館山に抱かれる穏やかな湾で、昔から良港として栄えていました。
町の平地は少なく、歩くとすぐ岡を登るようになります。教会の建物の多くは岡の上にあります。歩いて登れないことはないのですが、いささか体力が必要です。そういえば、長崎も横浜も小高い岡の上に諸教会があり、来日した外国人たちには、このような不便な土地が与えられたのでした。
夏の暑い日盛りでしたが、海からの風が爽やかに吹き登ってきて、素晴らしい光景を堪能しました。しかし、この爽やかな風も、冬ともなれば厳しく、明治以来、函館の町はしばしば大火事の災害を被ったとのことです。
日和坂 ソフトクリームの バニラ味 吹き上げそよぐ 海の風よき |
上りきり 長き坂をし 振りかえる 街路樹はるか 雲の湧く海 |
吹く風も 冬は厳しと 函館の 大火九たび この百五十年 |
(インマヌエル大宮キリスト教会 会員)