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ショートコラムねだ

— 放射能の話 —

 世の中には「煮ても焼いても食えないやつ」という表現があるが、今世間を騒がせている「放射能」なるものは、まさにその表現がぴったりのしろものである。毎日テレビなんぞで、これに関することを報道しているから、少しかじっておいても悪くはあるまい。ただし、もちろんおおまかに。

 「放射線」なる、人間はじめ生き物に、たいていは害をなす「もの」が存在する。その放射線を出す能力が「放射能」である。放射能を有する物質つまり放射線を出す物質を「放射性物質」という。

 放射線とは何か?
 この世界に足を踏み入れるとたちまち、<粒が飛ぶと波の性質を持っている>というけったいなものに遭遇する。物質を構成している原子は、陽子と中性子の集まり(原子核)の周囲を電子が飛んでいる・・比率からいうと、電子は太陽のまわりを惑星がまわっているくらい離れていて、物質の中はすかすかの空洞であるが・・その原子が壊れて、それを構成している粒が飛ぶと考えてよいのである。また原子がこわれなくても、エネルギーをもたせれば、一部の放射線(X線)が物質の表面からでてくる。

 放射線とは、空飛ぶ微少な粒である。その粒は原子を構成しているものであって、光子、電子、陽電子、陽子、中性子、ヘリウム核、その他原子をバラバラにした時存在する微粒子一切、といったところである。

飛んでいる粒の種類によって
 X線とγ(ガンマ)線・・光子
 β(ベータ)線   ・・電子、陽電子
 陽子線       ・・陽子(水素原子核)
 中性子線      ・・中性子
 α(アルファ)線  ・・ヘリウム核
などと呼ぶ。
 X線とγ線は、電波、赤外線、可視光線、紫外線などとおなじ電磁波であって、波としての性質上、その波長が短い領域のものである。

 次に放射能をもった物質<放射性物質>とは何か?
 物質は、陽子と中性子の集まりのまわりを電子が飛んでいるとのべたが、原子核を構成している中性子の数によって、放っておいても壊れていく・・崩壊するという・・、不安定なものが存在する。陽子と電子の数が同じで、中性子の数が異なるものを同位体と呼ぶ。同位体のなかには、自然に壊れて上記の微粒子を放出しながら、つまり放射線を出しながら安定なものに変わっていくものがある。安定なものが増えれば放射能は減るが、はじめの状態から半分になる期間を「半減期」という。物質毎に、放射能の強さ、半減期が異なるのである。
 よく話題に上る放射性物質は、「セシウム」であるが、セシウムの同位体は多数あり、その種類によって半減期が異なる。「ヨウ素」、これは人体に取り込まれ、甲状腺に集まりやすいことで知られている。半減期、8日といっているが、実はこれにも同位体がいっぱいあって、半減期が気が遠くなるくらい長いものもある。「ストロンチウム」、これはカルシウムと似ていて、骨に取り込まれる。これも不安定同位体がたくさんあるが、重要なのは、ストロンチウム90で、半減期約28年だという。

 放射能の測定単位は?
「ベクレル」という名が報道される。ベクレルとは、毎秒何個の原子が崩壊しているかを示す数値であって、以前は壊変毎秒といったらしい。こちらの方がベクレルより分かる。測定している放射性物質の種類、量、その放射性物質ができてからどれだけ時間が経過したかによって決まるものである。出ている放射線の種類を問わないので、そのままでは放射線の強さを示してはいない。

では、放射線の強さの測定単位は?
 「シーベルト」(Sv)という名前が連日報道されているが、これが放射線の強さをいっているのである。先に述べたように、放射線にはいろいろな種類がある。これらの放射線の生体への影響度はその種類によって異なるし、何にその放射線を照射するか、何に対する影響かによっても異なるので、一つの測定単位で表すのは難しいのだが、一応の決めごとがある。
光子 (X線、γ線)  ・・・ 1
電子・陽電子(β線)  ・・・ 1
陽子(陽子線)     ・・・ 5
中性子(中性子線)は
 保有エネルギーよって ・・・5~20
ヘリウム核(アルファ線)・・・20
ヘリウムより重い粒子
    (重粒子線)  ・・・20
といった放射線の種類によって重みつけ(放射線荷重係数)をする。
放射線ごとの被爆量(吸収線量値・・グレイ(Gy)という単位で計る・・1kg当たり1ジュールの放射線エネルギーが吸収される)に、上記の荷重係数を掛けそれを加算することによって、放射線の影響度の目安とするのである。
1 Sv = 放射線荷重係数×Gy
もちろんミリ、マイクロは、
1 mSv = 0.001 Sv
 ミリシーベルト     シーベルト
1 μSv = 0.001mSv
 マイクロシーベルト
である。

今日はここまで!!

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