読者の広場 <短歌>
— 「しばれる」ことも —
鈴木 健一
仙台に来て「貸してけさい」とか、「おばんです」とかはすぐ憶えました。最初の冬休みが終わって1月10日、大宮駅から列車で仙台駅に着いてプラットホームに立った時、余りの寒さに「おお、主よ」と、祈ってしまいました。そして、それが「しばれる」なのだと知りました。しかし、そんな経験を二度三度すると平気になり、だれにも頼らずひとりで生きていくことに、快感をおぼえ始めたのです。
正月の 里のぬくもり 吹き飛びき 裸木しばれる 仙台駅前 |
雪のちらつく 御霊屋下(おたまやした)を 下駄鳴らし 急ぐでもなく 銭湯にむかふ |
独り住まひの 夏心地よし 炎天の 青葉通りを 丸善に向かふ |
(インマヌエル大宮キリスト教会 会員)