同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書の植物

— 聖書の樹木から —

 写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
 詳細は同氏のホームページ

http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm

又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。

イチジクグワ
Ficus sycomorus
クワ科イチジク属


 イエスはエリコに入り、町を通っておられた。 そこにザアカイという人がいた。この人は徴税人の頭で、金持ちであった。イエスがどんな人か見ようとしたが、背が低かったので、群衆に遮られて見ることができなかった。それで、イエスを見るために、走って先回りし、いちじく桑の木に登った。そこを通り過ぎようとしておられたからである。(ルカ19:1~4)

神はぶどうの木を雹で打ち、いちじく桑を霜で枯らし(詩編78:47)

アモスは答えてアマツヤに言った。「わたしは預言者ではない。預言者の弟子でもない。 わたしは家畜を飼い、いちじく桑を栽培する者だ。」(アモス7:14)

 東アフリカ原産でB.C.2000年頃カナンにきたという説も、海岸沿いに昔からあったという説もある。常緑であるが、厳しい冬には落葉する。大木になり、高さ15m、葉冠は20m、幹の太さ1~2mにもなるものがある。葉はいちじくに似ず、むしろ桑のような形をしている。いちじくより小さく、丸みのある実が主幹や古い枝に直接つく。夏に熟し、昔は貧しい人に食べられ、売られてもいたがいちじくのように美味しくはない。いちじく同様陰花果で内側に雌雄の小さな花があり、小さな虫が頂にある小穴から出入りして受粉する。しかしこうするといちじく同様虫こぶが出来て食べられなくなるので、昔からヘブライ人は特殊なナイフでいちじく桑を刺激して食用にした。しかしいちじく桑は実の為にではなく、木材を取るために栽培されてきた。材質は軽く、多孔質なので天井にむいているし、古代エジプトではこの木が湿度と腐敗に強いので棺として使用していた。いちじく桑はそのままにしておくと根元がねじれて枝が沢山出てしまう。ザアカイは小さかったが、いちじく桑なら容易に登ることが出来たに違いない。しかし材として使用するためにはこのような枝を払わなければならない。預言者アモスがやっていたのはこのような仕事だったのであろう。いちじく桑はいちじくに比べると寒さに弱い。詩編78:47はこのことを表している。その他1Ki 10:27、1Ch 27:28、2Ch 1:15、2Ch 9:27、Isa 9:9に記載がある。ただし、イザヤ9:9ではいちじく桑ではなく、桑と誤訳されている。新改訳は正しくいちじく桑になっている。

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