同労者

キリスト教—信徒の志す—

論説

— 創世記19章 ー
<聖書を読みましょう>

「そのふたりの御使いは夕暮れにソドムに着いた。ロトはソドムの門のところにすわっていた。ロトは彼らを見るなり、立ち上がって彼らを迎え、顔を地につけて伏し拝んだ。そして言った。「さあ、ご主人。どうか、あなたがたのしもべの家に立ち寄り、足を洗って、お泊まりください。そして、朝早く旅を続けてください。」すると彼らは言った。「いや、わたしたちは広場に泊まろう。」しかし、彼がしきりに勧めたので、彼らは彼のところに向かい、彼の家の中に入った。ロトは彼らのためにごちそうを作り、パン種を入れないパンを焼いた。こうして彼らは食事をした。」(創世記 19:1-3)

 「その二人の御使い」はアブラハムの所にきた「主の使い」です。そのうちの一人は「主ご自身」として発言していました。
ロトは彼らのために「パン種を入れないパン」をそなえました。ずっと後になってモーセのとき、神に捧げるそなえのパンは特別な場合を除きパン種を入れないパンをささげる規定がなされました。ロトにもこの方が「主の使い」と分かったのかも知れません。
 「主の使い」たちは、ソドムの人々の行状が、天に伝わってきている通りか確認に現場にやってきたのでした。
ソドムの人々の行状は、天に伝わってきていたとおりの悪いものでした。 (創世記19:4-10)
11節の「目つぶしをくらったので」はリビングバイブル訳では「目をしばらく見えなくしたので」となっています。
他に「目がくらんで」という訳もあります。
7-8節ロトは自分の娘を差し出すと、集まった人々にいいましたが、その対応にはいろいろ言う人がいますが結論は出ないことでしょう。
12-14節「主の使い」たちはソドムで嫁いだロトの娘たちと家族を救い出す時間、猶予しました。それでロトは彼らの所をかけめぐりましたが、「彼の婿たちには、それは冗談のように思われた。」誰も一緒に逃げようとしませんでした。
15-17節「主の使い」たちはロトと妻と二人の娘を町の外に連れ出して、
「いのちがけで逃げなさい。うしろを振り返ってはいけない。この低地のどこででも立ち止まってはならない。山に逃げなさい。さもないと滅ぼされてしまう。」
と命令しました。
18-29節ロトは近くにあったツォアルという町に逃げさせて欲しいと頼み、それを許されました。
24-27節「そのとき、主はソドムとゴモラの上に、硫黄の火を天の主のところから降らせ、これらの町々と低地全体と、その町々の住民と、その地の植物をみな滅ぼされた。」ソドムが滅んだのは「天の主のところから硫黄の火が降ったため」と書かれています。火山だと信じる人々が多いかも知れませんが、火山とはどこにも書かれていません。
26節「ロトのうしろにいた彼の妻は、振り返ったので、塩の柱になってしまった。」
塩というと私たちが普通使っている塩(精製塩)をイメージしますが、ロトの妻は「岩塩」になった、と言えばよいでしょう。聖地旅行に行くと、似たような「岩」をロトの妻が変えられた塩の柱に見立てて、ロトの妻の塩の柱、と紹介されるそうです。4000年も前のこと、岩塩であっても塩、風化してなくなっていることでしょうし、もし残っていても、場所を特定することはまずできないでしょう。ウソと承知で、商魂たくましいひとびとです。
それはさておき、主の使いに禁じられた、後ろを振り返ったことの意味が議論されます。この世のるつぼ、ソドムから逃げ出しているときですから、後ろを振り返ったのは「この世」にひかれるこころがあったためと言われます。
27-29節「翌朝早く、アブラハムは、かつて主の前に立ったあの場所に行った。 彼がソドムとゴモラのほう、それに低地の全地方を見おろすと、見よ、まるでかまどの煙のようにその地の煙が立ち上っていた。こうして、神が低地の町々を滅ぼされたとき、神はアブラハムを覚えておられた。それで、ロトが住んでいた町々を滅ぼされたとき、神はロトをその破壊の中からのがれさせた。」
アブラハムの思いについては何も書かれていません。ロトが助けられたことはまだ知らなかったでしょう。しかし神はアブラハムの「執り成しの祈り」を覚えておられて、ロトと二人の娘を助け出されました。
30節「その後、ロトはツォアルを出て、ふたりの娘といっしょに山に住んだ。彼はツォアルに住むのを恐れたからである。彼はふたりの娘といっしょにほら穴の中に住んだ。」
ロトは「ツォアルを滅ぼさないでください」と自分が願ったことに対して、主の使いが「よろしい。わたしはこのことでも、あなたの願いを入れ、あなたの言うその町を滅ぼすまい。」と言われたのに、信じ続けることができませんでした。それでその町から逃げ出し、山に行き、洞穴に住んだのでした。町の人々とは交流がなく、一緒に連れて行った二人の娘には他の娘たちのような嫁ぎ先はなく、彼女たちは「お父さんによって、子孫を残しましょう。」と決断しました。そして生まれ出たロトの子孫が「モアブ人」と「アモン人」で長くイスラエルの敵となりました。
ボアズの妻となったルツはモアブ人、ソロモンの子レハブアムの母ナアマはアモン人でいずれもイエス・キリストの系図に加えられました。これもアブラハムの祈りへの神の応答であったことでしょう