同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書の植物

— 畑の植物から —

 写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
 詳細は同氏のホームページ

http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm

又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。

大麦
Hordenum vulgare
イネ科オオムギ属
下の写真は大麦の原種
H.spontaneum krithe seorah barley



亜麻と大麦は壊滅した。大麦はちょうど穂の出る時期で、亜麻はつぼみの開く時期であったからである。(出エジプト記9:31)
ナオミはこうして、モアブ生まれの嫁ルツを連れてモアブの野を去り、帰って来た。二人がベツレヘムに着いたのは、大麦の刈り入れの始まるころであった。(ルツ記1:22)
「ここに大麦のパン五つと魚二匹とを持っている少年がいます。けれども、こんなに大勢の人では、何の役にも立たないでしょう。」(ヨハネ6:9)
わたしは、四つの生き物の間から出る声のようなものが、こう言うのを聞いた。「小麦は一コイニクスで一デナリオン。大麦は三コイニクスで一デナリオン。オリーブ油とぶどう酒とを損なうな。」(ヨハネの黙示録6:6)

ビールの原料になり、麦飯に使用していた。最近になってまた健康上の理由から米に大麦を混ぜる人も増えてきた。小麦よりもやや早く収穫される(3週間~1月)ことは出エジプト記の引用箇所からも分かる。小麦とともに、エジプト、パレスチナの主要な穀物であるが、黙示録の記載からも分かるように大麦は小麦よりもずっと安い。大麦はそのまま、または小麦と混ぜて貧しい人の食料としたり、家畜の餌にする。あまり雨の降らない半乾燥地の北ネゲブにも育つ。
大麦は特に肥沃な三日月地帯、ヨルダン渓谷から南トルコさらに曲がってイラククルド、南西イラクにかけて野生二条種Hordeum spontaneum(Hordeum vulgare subsp. spontaneum)が広く、密に分布しているので、これが栽培されていたもの、または野生のものから突然変異などで六条大麦が出来た可能性が強い。大麦の頴果は、外頴と内頴に包まれていて、これが完熟した後にくっついているのを皮麦、内外頴から取り出せるものを裸麦といっている。裸麦は食用によく、皮麦はビール製造や家畜の餌によい。
Dukeは大麦の薬用について種々のべているが、大麦のあら粉は下痢や炎症によいようである。日本でも大麦の種子を発芽させたもやしの乾燥品を麦芽と言い、澱粉、蛋白、およびそれらの分解酵素を麦芽糖やビタミン類とともに含み、消化、健胃薬として用いられる。

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