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キリスト教—信徒の志す—

聖書の植物

— 聖書の樹木から —

 写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
 詳細は同氏のホームページ

http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm

又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。


Quercus ithaburensis
Q. calliprinos
ブナ科コナラ属



左から聖地ガシ、ボアッシーリガシ、タルボガシ

アブラムはその地を通り、シケムの聖所、モレの樫の木まで来た。当時、その地方にはカナン人が住んでいた。(創世記12:6)

その他創世記13:18、14:13、および18:1はマムレの樫の木として、創世記46:14、民数記26:26、ヨシュア記19:33、士師記4:11、9:37、12:12、は固有名詞として出てくる。士師記9:6は樫ではなく、てれびんの木と誤訳している。申命記11:30はモレの樫の木、サムエル上10:3にも樫の木がある。
但し、創世記35:4の記載「人々は、持っていた外国のすべての神々と、着けていた耳飾りをヤコブに渡したので、ヤコブはそれらをシケムの近くにある樫の木の下に埋めた。」の樫はヘブライ語がエラーとなっているのでテレビンの木である
さて、聖地には樫の木が3種類ある。他の希少種についてはここで触れない。樫と聖書には書いてあるが実際は分類的にはナラである。そのことを述べた上で、樫としよう。
セイチガシ Quercus calliprinos(イスラエルではこのように言われているが、HepperはQ.cocciferaとしている)はごく普通の常緑の低木で、冬から早春にかけてはこの樫だけが葉がある。葉は卵形から長楕円形で比較的小さく、皮のような光沢がある。葉の大きさは他の2種よりも小さく、2~4x1~1.5cm位である。葉の縁は歯状で少し切れ込みが深く、葉の先はとげのように尖っている。通常は根元から枝分かれしている低木であるが、時には幹も太くなり、丈も高くなる。常緑であるが、春先に新しい葉が出てくると落葉する。花は3~4月に開花し、果実は12月頃に熟す。沢山の雄花を尾状花序につけ、まばらに上に穂状花序についている雌花の下に垂れ下がっている。両花とも目立たないが、風で受粉する。堅果は他の2種よりも小さく、総苞は図のようになっている。聖書に出てくる樫は力,長命、誇り、堂々たる様子のシンボルのように述べられているところではタボルガシQercus ithaburensis(Q.macrolepisまたはQ.aegilops)のように考えられる。しかしセイチガシも所によってはかなり大きくなり、しかも常緑であるので、墓や礼拝の対象としても使われる。その良い例がヘブロンにある樫の木である。アブラハムはマムレに樫を植えた。今でもヘブロンの町はずれのギリシャ正教の教会の庭にセイチガシの大木が保存されていて、アブラハムの樫の木と呼ばれている。

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