同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書の植物

— 畑の植物から —

 写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
 詳細は同氏のホームページ

http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm

又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。

玉葱
Allium cepa
ユリ科ネギ属
batzalbetzalim
(複数形onionm)



ああ誰か肉を食べさせてくれないものか。エジプトでは魚をただで食べていたし、きゅうりやメロン、葱や玉葱やにんにくが忘れられない。今では、わたしたちの唾は干上がり、どこを見回してもマナばかりで、何もない。(民数記11:4〜6)

かなり古代から栽培されていた食物である。Unas(BC2420)やPepi二世(BC2200)のピラミッドなどからこの事実が明らかになっている。文献上メソポタミアで既にBC2000年頃に育っていたことが分かっている。野生の先祖はまだよく分かっていない。形態学上では北イラン、アフガニスタン、中央アジアの隣接国に自生しているAllium oschaniniiに非常によく似ている。しかしAllium oschaniniiとAllium cepaとを掛け合わせると種子を作らない種が出来る。このことからAllium oschaniniiは玉葱の直接の先祖ではないようである。
この玉葱とにんにくはエジプトのピラミッド造りの労働者たちの食糧とされたことが記録されている。それから地中海に広まり、ヨーロッパに伝わり、そこで広まった。1347年ヨーロッパでの疫病流行時ににんにくと玉葱を売っている店では伝染病を免れたと伝えられている。その後各国で品種改良が行われ現在に至っている。東ヨーロッパ系は辛玉葱で、南ヨーロッパ系は甘玉葱が主流である。玉葱の外皮にはクエルセチンなどが含まれ、天然の染料として各種の媒染剤と組み合わせて黄、茶、黒がかった色を出すことに使用できるし、抗酸化性があり、健康増進にも使用できる。