同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書の植物

— 香料、薬草、野草から —

 写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
 詳細は同氏のホームページ

http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm

又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。

没薬、ミルラ ―――>モツヤクジュ
Commiphora myrrha,
アラビアモツヤク
C. abyssinica
カンラン科モツヤクジュ属の植物から得られる樹脂


家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。(マタイ2:11)

没薬を混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはお受けにならなかった。(マルコ15:23)

没薬はアフリカ北東部、南アラビア原産で、エジプトには既に紀元前1700年に輸入され、死者の体に塗ったり、礼拝の時に用いた。ダビデも香りをたたえ、ソロモンも香りを楽しんだ。イエスの誕生の時と十字架上での死の直前に登場してくるこの没薬はアラビアモツヤクCommiphora abyssinicaやその他のCommiphora属の植物の樹脂である。棘を持つ枝分かれのある低木で、小さな3つの卵形の小葉を持つ複葉であるが、乾燥地帯に育つので葉が付いている期間は短い。花は小さな白い花である。花弁やがくは4枚で、雄蕊は8つである。乳香の果実が乾燥しているカプセルであるのに反して、没薬の果実はジュース分の多い核果である。固まる樹脂も没薬では赤っぽい。また没薬は乳香のように薫香料として燃やさず、むしろ、香料、化粧品、医薬品として使用することが多い。