第282号
2023年 4月
・・・ 表紙の写真はイスラエルの香料植物 没薬 ・・・
廣部千恵子氏の許可を得て掲載した聖書の植物のひとつです。
没薬(モツヤク、ミルラ)は、没薬樹の樹液が固化したものです。
「そしてその家に入って、母マリヤとともにおられる幼子を見、ひれ伏して拝んだ。
そして、宝の箱をあけて、黄金、乳香、没薬を贈り物としてささげた。」(マタイ 2:11)
「そして彼らは、没薬(苦み)を混ぜたぶどう酒をイエスに与えようとしたが、イエスは
お飲みにならなかった。」(マルコ 15:23)
「前に、夜イエスのところに来たニコデモも、没薬とアロエを混ぜ合わせたものをお
よそ三十キログラムばかり持って、やって来た。」(ヨハネ 15:23)
東の博士たち自身が理解していたか不明ですが、幼子イエスに没薬が献げられたの
はイエスの死の予言と理解されています。 十字架上でイエスに呑ませようとした没
薬は、鎮痛剤としての効果があるためと考えられています。イエスはそれを断られま
した。死者を葬るとき没薬を塗る習慣であったと伝えられています。きっと死臭を和
らげる効果があったためでしょう。
その他
ヨセフを買って、エジプトで売ったイシュマエル人の隊商の商品のひとつに没薬があ
りました。(創世記 37:25)
ヤコブの息子たちがエジプトに穀物を買いに行くとき、ヨセフへの贈り物として持って
いくようにとヤコブが指示した品物のひとつが没薬です。(創世記 43:11)
祭司の任職など幕屋の行事に用いる注ぎ油の材料のひとつに没薬があります。
(出エジプト記 30:23)
エステルたち、王に召される乙女たちの化粧に没薬が用いられました。(エステル記 2:12)
香料として用いられている例は、詩篇45:8、箴言7:17、雅歌 1:13、3:6、4:6、4:14、
5:1、5:5、5:13 などに記されています。