同労者

キリスト教—信徒の志す—

第272号

2022年 6月

表紙写真

・・・  表紙の写真はシャロンのチュ-リップ  ・・・
   廣部千恵子氏の許可を得て掲載した聖書の植物のひとつです。


  • http://dorosya.net/028/syokubutu.html



  •     「われはシャロンの野花 谷の百合花(ゆり)なり」(文語訳 雅歌2:1)

     前回書きました問題の語をパンクラチウムと言うのは現代のヘブル語で、雅歌が書か れた頃それが何を指していたのか分からないのだそうです。それで、聖書学者の間で 議論が巻き起こり、前にも一部述べましたが、クロッカスの一種、チューリップ、百合、 スイセン、サフラン、浜百合などが主張されました。現代では、ヒペリカム、ハイビス カス、アイリスなどもそれだと言われ議論が尽きないようです。

     もう一つの話題、雅歌2章1節は、王(男)の言葉か、花嫁(娘)のことばかという点 について手元にある資料では、
    ハドソン・テーラー、バックストンは、花嫁(娘)のことば
    笹尾鉄三郎、米田豊は、王(男)のことば
    としています。

     笹尾鉄三郎は、バックストンによって中田重治のリバイバルの働き、東洋宣教会、の支援に派遣された人物です。今も騒がれているのはバックストンくらいで、段々忘れ去られていますが、柏木聖書学院長、淀橋教会の初代牧師を務めました。バックストンの赤山講話はバックストンの説教を笹尾鉄三郎が筆記したものだそうです。
     米田豊は笹尾鉄三郎の弟子だったと言ってもいいでしょう。米田豊は笹尾鉄三郎が中田 重治のもとを去ったので、バックストンの秘書になったそうです。

    1959年にKGKから発行された聖書注解にはこう書かれています。
    「<わたしはシャロンのばら>初代の教父たちや古い英語訳聖書、フランス語、イタリヤ 語、ポルトガル語の聖書と大多数の古い注解書は、このことばを愛する者(男)のものと している。最近の多くの学者たちは一致してシュラムの女が語ったものと解している。二 つの意見に甲乙をつけるのは困難だが、全体として前の意見の方が適切である。」
    なおこの聖書注解は序文に、1953年に英国インターヴァーシティ・フェローシップ により刊行された「新聖書注解」の翻訳です、と書かれています。